ダブラフェニブ/トラメチニブ併用療法、BRAF遺伝子変異がある非小細胞肺がんで適応追加承認

2018/03/30

文:がん+編集部

化学療法歴のある非小細胞肺がん患者さんの奏効率63.2%

 ノバルティス ファーマ株式会社は3月23日、ダブラフェニブ(製品名:タフィンラー)とトラメチニブ(製品名:メキニスト)の併用療法について、BRAF遺伝子変異がある非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表しました。

 今回の承認は、BRAF V600E遺伝子変異がある切除不能な進行・再発のNSCLC患者さん(白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者さん57名、化学療法歴のない患者さん36名)を対象にダブラフェニブ/トラメチニブ併用療法の安全性と有効性を評価した国際共同第2相臨床試験(E2201試験)の結果に基づくものです。試験の結果、ダブラフェニブ150mgを1日2回、トラメチニブ2mgを1日1回投与した57名の化学療法歴のある患者さんの奏効率(ORR)は、63.2%(95%信頼区間:49.3-75.6)。化学療法歴のない患者さんに同じ量を投与した際のORRは、61.1%(95%信頼区間:43.5-76.9)だったとしています。また、この試験でのダブラフェニブ/トラメチニブ併用療法を受けた患者さんで観察された主な副作用は、発熱(49.5%)、悪心(38.7%)、嘔吐(26.9%)、皮膚乾燥(26.9%)などでした。

 近年、NSCLC治療では、がんの原因となる遺伝子の解明が進んでおり、関与する分子を治療標的とすることで、治療効果の期待できる患者さんをあらかじめ特定し、治療成績を向上させるというプレシジョン・メディシンが浸透してきています。EGFRALK遺伝子を分子標的としたNSCLCの治療薬はすでに使用されていますが、NSCLC患者さんの約1%にみられるBRAFとMEKを分子標的として承認された治療薬はありませんでした。BRAF遺伝子変異陽性の腫瘍は、増殖が速く予後不良である可能性があることから、この変異のある患者さんは緊急に治療する必要があります。そのため、BRAFおよびMEKを分子標的とする、新たな治療薬を早期に臨床現場に提供することが望まれています。

 ダブラフェニブ/トラメチニブ併用療法は、日本において、BRAF遺伝子変異がある根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として、2016年3月に承認され、同年6月に発売されました。ダブラフェニブ/トラメチニブ併用療法には、BRAF遺伝子変異を特定するためのコンパニオン診断薬として、サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループ・ライフテクノロジーズジャパン株式会社の「オンコマイン Dx Target Test CDxシステム」を使用する必要があります。ノバルティスでは、ダブラフェニブ/トラメチニブ併用療法での治療を必要とする可能性のあるNSCLC患者さんを対象に、一定期間、BRAF遺伝子変異を特定するための診断検査にかかる費用を自社で負担する「BRAF V600E検査結果提供プログラム」の実施を準備中だとしています。