多発性骨髄腫の新しい治療薬Selinexor、米FDAの優先審査品目に指定
2018/04/16
文:がん+編集部
多発性骨髄腫の患者さんの新しい治療薬として「Selinexor」という薬が、米FDAで優先審査品目に指定されました。優先指定品目に指定されたことにより、薬の開発や審査、承認が迅速に進められます。
正常な細胞にほぼ影響を与えず、がん細胞を細胞死に誘導
米カリオファーム社は4月10日、Selinexorについて、3回以上の治療歴がある多発性骨髄腫の患者さんの治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)が優先審査品目に指定したことを発表しました。
Selinexorは、細胞が持つ腫瘍抑制機能を再び活性化し、その働きを強くする働きがあります。そのため、正常な細胞にはほとんど影響を与えずに、がん細胞が細胞死(アポトーシス)を起こすように誘導すると考えられています。
今回の優先審査品目の指定は、Selinexorの第2b臨床試験であるSTORM試験のデザインと合致するものです。STORM試験では、複数の前治療を受けた5剤抵抗性骨髄腫の患者さん122人が、Selinexor80mg(週2回、経口投与)と低用量デキサメタゾン20mg(週2回、経口投与)の併用療法を受けます。
難治性疾患の患者さんは、アルキル化剤、グルココルチコイド、免疫調節剤レナリドミド(製品名:レブラミド)とポマリドミド(製品名:ポマリスト)、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ(製品名:ベルケイド)とカルフィルゾミブ(製品名:カイプロリス))、抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(製品名:ダラザレックス)の治療歴があります。
STORM試験の主要評価項目は奏効率で、副次評価項目は、奏効期間と臨床的有益率です。全奏効率は、独立審査委員会によって審査されます。