オプジーボの治療効果予測を可能にする検査法が開発
2018/11/27
文:がん+編集部
ニボルマブ(製品名:オプジーボ)による悪性黒色腫の治療で、治療効果予測因子が世界で初めて発見され、ニボルマブの治療効果を予測する検査法も開発されました。
効果予測因子が上昇した85%で治療効果が認められた
東北大学は11月19日に、世界初となる悪性黒色腫に対するニボルマブの治療効果予測因子を発見し、その検査法も開発したと発表しました。この発見と検査法の開発は、東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野の相場節也教授と同大学病院皮膚科の藤村卓講師らの研究グループによるものです。
ニボルマブは、2014年に根治切除不能悪性黒色腫に対する免疫療法として保険適応が承認され、その後、肺がん、胃がん、ホジキンリンパ腫、腎細胞がんなど多くのがん腫への適応拡大が認められています。しかし、悪性黒色腫の患者さんに単剤で使用した場合、その治療効果が表れる確率は30%前後とそれまでの治療薬に比べて効果が高いものの、効果が出ないため別の治療が必要となる場合が70%程度存在します。また、ニボルマブによる治療後に進行したがんに、同じく悪性黒色腫の治療薬として承認されている免疫チェックポイント阻害薬のイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)に治療を変更してもその効果は5%程度です。さらに、ニボルマブと単剤投与の場合の免疫関連有害事象が約10%前後、ニボルマブとイピリムマブを併用した場合では55%前後に上昇することがわかっています。そのため、ニボルマブ単剤で治療効果があるかがわかれば、不必要な治療や副作用リスクを回避することができます。
今回の研究では、根治切除不能悪性黒色腫患者において、ニボルマブ投与開始時と投与 6週目の血清中の可溶性タンパク質CD163を計測した後、投与3か月目における治療効果を画像診断などで確認したそうです。血中のCD163が上昇したグループの85%でニボルマブの治療効果が認められ、変化がなかったグループの87%で治療効果が認められませんでした。この結果から、悪性黒色腫に対するニボルマブの治療の効果予測因子として、血中のCD163がバイオマーカーになることを発見し、検査法を開発したそうです。
検査法は、ニボルマブ投与開始後6週間目に採血するだけで、その後の治療継続や変更などの判断が可能になります。また、悪性黒色腫以外の多くのがん種でもこの検査法の応用が期待できるそうです。