キイトルーダ、食道がん、食道胃接合部がんで全生存期間を延長
2018/12/03
文:がん+編集部
ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)のPD-L1陽性進行性食道がんまたは食道胃接合部がんの治験で、全生存期間※1の延長が確認されました。この結果は、抗PD-1抗体薬として初めて食道がんと食道胃接合部がんに対する延命効果を示したものです。
抗PD-1抗体として初めて食道がんまたは食道胃接合部がんに対して延命効果を示す
米メルク社は11月14日、ペムブロリズマブのPD-L1陽性進行性食道がんまたは食道胃接合部がんに対する3相試験KEYNOTE-181試験の結果は発表しました。主要評価項目の全生存期間が有意に延長したそうです。
KEYNOTE-181試験は、標準治療による初回治療後に進行した進行・転移性の食道がん(腺がん、扁平上皮がんとも)とタイプ1※2の食道胃接合部腺がんを対象として、ペムブロリズマブ単独療法と化学療法を比較した治験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は無増悪生存期間※3と奏効率※4、安全性/忍容性でした。
ペムブロリズマブ投与群とドセタキセル(製品名:タキソテールほか)、パクリタキセル(製品名:タキソールほか)、イリノテカン(トポテシン、カンプトほか)による化学療法群を比較した結果、全生存期間が統計学的に有意に延長しました。同試験でのペムブロリズマブの安全性は、これまでの試験で報告されたものと一貫していたそうです。
同社研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynes博士は「この試験では、キイトルーダは標準化学療法と比較して、PD-L1陽性(CPS≧10)の進行性食道がんまたは食道胃接合部がん患者に対して、統計学的有意かつ臨床的に意味のある全生存期間の延長を示しました。これはキイトルーダが延命効果を示した6種類目のがんで、このがん患者集団で全生存期間の延長を達成した初の抗PD-1抗体となります。食道がん患者の初回治療としてキイトルーダと化学療法の併用療法を評価する第3相試験KEYNOTE-590を引き続き実施し、アンメットニーズの存在するこの領域における研究に引き続き取り組んでまいります」とコメントしています。
KEYNOTE-181試験
対象:進行・転移性の食道がん(腺がん、扁平上皮がんとも)とタイプ1の食道胃接合部腺がん
条件:初回治療後進行したPD-L1陽性(CPS≧10)の患者さん
フェーズ:第3相試験
登録数:720人
試験群:ペムブロリズマブ
対照群:標準化学療法(ドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン)
主要評価項目:全生存期間
副次的評価項目:無増悪生存期間、奏効率
※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:腫瘍中心の位置が食道胃接合部から1cm以上離れた食道側の腺がん
※3:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※4:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。