テセントリク、進展型小細胞肺がんで適応拡大の承認申請

2018/12/18

文:がん+編集部

免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)小細胞肺がんに対して、適応拡大の承認申請がされました。IMpower133試験の成績に基づいたものです。

IMpower133試験で全生存期間の延長を示す

 中外製薬株式会社は12月7日、アテゾリズマブの進展型小細胞肺がんに対して適応拡大の承認申請をしたことを発表しました。今回の適応拡大の承認申請の基になったのは、国際共同第1/3相臨床試験のIMpower133試験の成績によるものです。

 IMpower133試験は、化学療法未治療の進展型小細胞肺がん患者さんを対象に、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチンおよびエトポシド)併用と化学療法単独を比較して、有効性と安全性を評価した多施設共同無作為化プラセボ対照の二重盲検国際共同臨床試験です。

 併用療法の全生存期間の中央値は12.3か月、化学療法単独では10.3か月と全生存期間※1の延長が認められ、無増悪生存期間※2の延長も示されたそうです(併用療法中央値:5.2か月、化学療法単独中央値:4.3か月)。安全性に関しても、これまで各薬剤で認められているものと一致しており、新たな安全性のシグナルは確認されていません。

 同社上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康氏は「本日の適応拡大申請を大変嬉しく思います。テセントリクは、進展型小細胞肺がんの一次治療において、がん免疫療法で初めて全生存期間および無増悪生存期間の延長を示した薬剤であり、先ごろ、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けています。治療選択肢の限られたこの疾患の患者さんに、本剤を一日も早く提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります」とコメントしています。

IMpower133試験

対象:小細胞肺がん
条件:未治療の進展型小細胞肺がん
フェーズ:第1/3相臨床試験
試験デザイン:ランダム化、多施設共同、二重盲検試験
登録数:400
試験群:テセントリク+カルボプラチン+エトポシド
対照群:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド
主要評価項目:全生存期間、無増悪生存期間
副次的評価項目:奏効率※3、安全性

※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。