E7090、FGFR2陽性胆道がんに対して先駆け審査指定制度の対象に
2019/04/15
文:がん+編集部
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に対する分子標的薬「E7090」が、厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象品目に指定されました。FGFR2融合遺伝子陽性の切除不能な胆道がんに対する治療においてです。
新規FGFR阻害薬E7090、FGFRに素早くかつ強力に結合
エーザイ株式会社は4月8日に、FGFRを選択的に阻害する分子標的薬E7090が、FGFR2融合遺伝子を有する切除不能な胆道がんに対する治療薬として、厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたと発表しました。
先駆け審査指定制度は、原則として既存の薬と異なる作用機序で、高い有効性が期待される医薬品を指定する制度です。画期的な新薬を日本で早期に実用化することを目的としているため、指定品目は、薬事承認にかかわる相談や審査で優先的な扱いを受けることができます。
FGFRの遺伝子異常は、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性などに関わることが分かっています。E7090は、FGFR1、2、3を選択的に阻害することで、シグナルを遮断する分子標的薬です。既存のFGFR阻害薬と異なり、ジメトキシフェニル基を持たないユニークな基本構造をもつため、FGFRに素早くかつ強力に結合することで、抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。
FGFR融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約14%に認められています。また胆道がんの5年相対生存率は約20%と悪く、治療薬の選択も限られているため、新たな治療薬や治療法が求められています。今回の先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたことで、早期の承認が期待されます。
「E7090」は、日本においてFGFR2 融合遺伝子を有する胆管がんを含む固形がん患者さんを対象としたFirst in Human試験(臨床第1相試験)を進行中です。