オプジーボ、切除不能な進行再発食道がんに対して承認申請

2019/06/10

文:がん+編集部

 ニボルマブ(製品名:オプジーボ)について、切除不能な進行または再発食道がんに対する効能・効果で承認申請が行われました。

食道がんに対するオプジーボの治験で、全生存期間を有意に改善

 小野薬品工業株式会社は5月30日に、抗PD-1抗体オプジーボの製造販売承認事項の一部変更申請を行ったことを発表しました。切除不能な進行または再発食道がんに対する効能・効果の追加で、今回の承認申請は、多施設国際共同無作為化非盲検第3相臨床試験ATTRACTION-3試験の結果に基づくものです。

 ATTRACTION-3試験は、フルオロピリミジン系薬およびプラチナ製剤を含む併用療法に不応不耐となったPD-L1発現を問わない食道がん患者さんを対象に行われました。ニボルマブと化学療法(ドセタキセルまたはパクリタキセル)とを比較して、有効性と安全性が評価されました。その結果、ニボルマブは化学療法に対して、主要評価項目である全生存期間の有意な改善を示しました。

 国立がん研究センターによるがん登録・統計の2013年の全国推計値によると、食道がんにかかる人は、10万人あたり17.9人です。男性は、10万人あたり31人、女性は、5.6人で男性に多い傾向です。早期の食道がんではほとんど自覚症状がありませんが、がんの進行につれ、胸の違和感、食物のつかえる感じ、胆汁減少、胸や背中の痛み、声のかすれなどの症状が起こります。日本人の食道がんの約半数は、食道の中央付近にでき、次に多くできるのは食道の下部です。組織型は扁平上皮がんが90%以上で、腺がんは5%以下です。食道の内側の粘膜から発生したがんは、粘膜下層、固有筋層、外膜へと浸潤していきます。粘膜内に留まるものを早期食道がん、粘膜下層までにとどまるものを表在食道がん、それ以上浸潤しているものを進行食道がんといいます。シスプラチンと5-FUが不応となった食道がんの2次治療では、明確な生存期間の延長効果を示した治療法がないことから、今回の治験の結果と追加申請による承認が期待されます。