キイトルーダ、頭頸部がんに対する治験で全生存期間を延長

2019/06/25

文:がん+編集部

 再発・転移性頭頸部がんの初回治療として、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)が全生存期間を延長。また、PD-L1の発現にかかわらないペムブロリズマブ+化学療法併用と、PD-L1陽性群に対するペムブロリズマブ単独療法が、生存率を改善しました。いずれも治験の結果です。

キイトルーダ+化学療法、PD-L1発現率20%以上なら死亡リスク40%低減

 米メルク社は5月31日に、再発または転移性の頭頸部扁平上皮がんの初回治療として、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ単独療法および化学療法との併用療法を評価したKEYNOTE-048試験の最終解析データを米国臨床腫瘍学会で報告したと発表しました。

 KEYNOTE-048試験は、再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん患者さん882人を対象に、ペムブロリズマブ単独療法、ペムブロリズマブ+化学療法とEXTREMEレジメン(セツキシマブ+シスプラチンまたはカルボプラチン+フルオロウラシル)を比較した無作為化非盲検の第3相臨床試験です。主要評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、副次的評価項目は投与開始後6か月および12か月時点の無増悪生存期間、奏効率、安全性などです。

 KEYNOTE-048試験の最終解析の結果、PD-L1発現率が20%以上の患者さんでは、ペムブロリズマブ+化学療法併用は、現在の標準治療であるEXTREMEレジメンと比較して死亡リスクが40%低減していました。一方、無増悪生存期間では、両者間で統計学的な有意差は認められませんでした。PD-L1発現率が1%以上の患者さんでも、ペムブロリズマブ+化学療法併用は、EXTREMEレジメンと比較して死亡リスクが35%低減していました。すべての患者さんに対する解析では、ペムブロリズマブ単独療法の全生存期間の結果は中間解析と一致し、非劣勢が認められました。一方で、無増悪生存期間には差がありませんでした。

 同社研究開発本部臨床研究担当バイスプレジデントであるJonathan Cheng博士は「当社は広範な頭頸部がん臨床研究プログラムにより、この難しい治療セッティングの研究を進めることに注力しています。KEYNOTE-048試験の最終データではキイトルーダの単独療法および化学療法との併用療法が再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者さんの新たな初回治療の選択肢となりうることが示されました。KEYNOTE-048試験に参加してくださった患者さんや治験責任医師の皆様に心から感謝しています」と、述べています。

全生存期間の概要

集団(イベント発生患者数)最終解析ハザード比(95% CI)
KEYTRUDA®単独療法
PD-L1 CPS≧20 (n=133) vs. EXTREME (n=122)0.58 (0.44-0.78)
PD-L1 CPS≧1 (n=257) vs. EXTREME (n=255)0.74 (0.61-0.90)
全試験集団(n=301)vs. EXTREME(n=300)0.83 (0.70-0.99); p=0.0199
KEYTRUDA®と化学療法との併用療法
PD-L1 CPS≧20(n=126)vs. EXTREME(n=110)0.60 (0.45–0.82); p=0.0004
PD-L1 CPS≧1(n=242)vs. EXTREME((n=235)0.65 (0.53–0.80); p
全試験集団(n=281)vs. EXTREME(n=278)0.72 (0.60-0.87)

濃いオレンジ:優越性が認められた
薄いオレンジ:中間解析で同集団における優越性がすでに示されているため、新たな統計的検定は実施しなかった
グレー:優越性は認められなかった