FGFR2遺伝子再構成を伴う切除不能または転移性の胆管がんに対するペミガチニブの治験

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治験

FIGHT-302

FGFR2遺伝子再構成を伴う切除不能又は転移性の胆管癌患者を対象に、1次治療としてのPemigatinibの有効性及び安全性をゲムシタビン+シスプラチン併用化学療法と比較して評価する(FIGHT-302)

治験概要:

胆管がんに対する治験。FGFR2遺伝子再構成を伴う切除不能または転移性の胆管がん患者さんが対象です。
ペミガチニブとゲムシタビン+シスプラチン併用療法を比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、434人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、非盲検、ランダム化、実薬対照、多施設共同、第III相試験、治療
試験群:ペミガチニブ
対照群:ゲムシタビン+シスプラチン併用療法
無増悪生存期間、全奏効率、全生存期間、奏効期間、病勢コントロール率、有害事象QOLなどで評価します。

疾患解説:胆管がん

疾患の詳細は、「胆道がんを知る」を参照ください。

治験薬:ペミガチニブ

ペミガチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を阻害する分子標的薬です。
FGFは、血管新生など成長因子の一種で、細胞の増殖や分化において重要な役割を担っています。
また、FGFR3変異がある腫瘍では、免疫活性化の兆候を示さないようで免疫療法に反応しない可能性が示唆されています。
ペミガチニブは、FGFR1/2/3に選択的に結合することでFGFR1/2/3に関連のシグナル伝達を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。

対照薬:ゲムシタビン

ゲムシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。
細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。
ピリミジン系抗がん剤には、ゲムシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、カペシタビンなどがあります。
ゲムシタビンは、細胞内で代謝され、DNA合成を直接的、間接的に阻害します。

対照薬:シスプラチン

シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

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試験概要詳細

試験の名称 FGFR2遺伝子再構成を伴う切除不能又は転移性の胆管癌患者を対象に、1次治療としてのPemigatinibの有効性及び安全性をゲムシタビン+シスプラチン併用化学療法と比較して評価する(FIGHT-302)
試験の概要本治験の目的は、FGFR2遺伝子再構成を伴う切除不能又は転移性の胆管癌患者を対象に、1次治療としてのPemigatinibの有効性及び安全性をゲムシタビン+シスプラチン併用化学療法と比較して評価する
疾患名切除不能胆管がん、転移性胆管がん
試験薬剤名Pemigatinib
用法・用量Pemigatinibは治験実施計画書で定められた用量を1日1回経口で連日投与(1サイクルは3週間)する
対照薬剤名ゲムシタビン
用法・用量3週間を1サイクルとして、1日目及び8日目に1000mg/m2を併用投与し、最大8サイクルまで継続する
対照薬剤名シスプラチン
用法・用量3週間を1サイクルとして、1日目及び8日目に25mg/m2を併用投与し、最大8サイクルまで継続する
試験のフェーズ3
試験のデザイン非盲検、ランダム化、実薬対照、多施設共同
目標症例数434
適格基準
  • ICFへの署名時に18歳以上の男性/女性患者
  • 組織学的又は細胞学的に胆管がんと診断され、治療歴がなく、切除不能及び/又は転移性と診断された(米国癌合同委員会[AJCC]癌病期分類マニュアル[AJCC2002年]に従って4期)患者
  • コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴画像法(MRI)による画像検査でRECISTv1.1(Eisenhauerら2016年)に基づく測定可能又は評価可能な病変を有する患者
  • ECOGパフォーマンスステータスが0又は1の患者
  • FGFR2遺伝子再構成が記録されている患者
  • 日本人患者の場合、避妊の意思がある女性患者又はパートナーに避妊の意思がある男性患者
除外基準
  • 切除不能及び/又は転移性がんに対する抗がん剤による全身治療歴がある[術前・術後の補助化学療法を登録の6か月以上前に完了している患者及び放射線画像検査により進行が明らかに認められた局所進行がんに対して経動脈的化学塞栓療法又は選択的内部放射線療法を登録前に受けた患者又は改訂第6版(又は改訂第5-JP2版)以降に登録され、ゲムシタビン+シスプラチンを1サイクル投与された患者は適格とする。ゲムシタビン+シスプラチンの投与を受けた患者は、ゲムシタビン+シスプラチンの最終投与日から治験薬の投与開始(サイクル1の投与1日目)まで、14日以上4週間(28日)以下の間隔を空けなければならない。]
  • Child-Pugh分類でB又はCの肝硬変を有する患者
  • スクリーニング時に、過去の治療に関連するグレード2(CTCAEv5.0に基づく)以上の有害事象がみられる患者
  • 本治験で使用する治療法以外の抗がん治療(化学療法、放射線療法、手術、免疫療法、生物学的療法、ホルモン療法、研究的治療、腫瘍塞栓術等)を併用する患者
  • 根治目的の手術を受ける可能性がある患者
  • 臨床的に重要な角膜障害/網膜障害(水疱性/帯状角膜症及び角膜擦過傷、炎症/潰瘍症角結膜炎等を含む)又は網膜障害(斑状/網膜変性症及び糖尿病性網膜症、網膜剥離等を含む)を有することが眼科検査により確認された患者
  • 登録/ランダム化/治験薬の初回投与前4週間以内に放射線療法を受けた患者
  • CNSへの転移が判明している又は制御不能の痙攣発作の既往歴を有する患者
  • 進行中又は積極的な治療を要する他の悪性腫瘍を有する患者。但し、皮膚の基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん又は子宮頚部上皮内がんに対する根治的治療が既に行われている患者は適格とする
  • スクリーニング時の臨床検査値に、プロトコール規定値からはずれる異常が認められた患者
  • カルシウム排泄障害、リン酸排泄障害又は軟組織の異所性石灰化を伴うミネラルの全身アンバランスの既往歴がある患者(例外:ミネラルの全身アンバランスのない障害、疾患、加齢による皮膚等の軟組織、腎臓、腱、血管によく見られる石灰化)
  • Pemigatinibの吸収・代謝・排泄を妨げる可能性がある重大な胃腸障害を有する患者
  • 臨床的に重要な又はコントロールされていない心疾患を治験薬投与の前日から6か月以内に発症した患者
  • 臨床的に意義があると治験責任(分担)医師等が判断した異常な心電図所見が過去又は現在認められる
  • 登録前2週間以内に、抗生物質、抗真菌薬又は抗ウイルス薬の全身投与を必要とする慢性又は現在活動性の感染症を発症した患者(無症候性慢性感染症患者への予防的投与は許容される)。注:以下の基準に全て該当するヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性患者は可とする。CD4+数300/μL以上、ウイルス量検出不能、治験薬と相互作用しない抗レトロウイルス療法を受けている及び過去12か月間HIV/後天性免疫不全症候群(AIDS)関連の日和見感染症に罹患していない
  • 治験薬初回投与前14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)に強力なCYP3A4阻害剤又は誘導剤、若しくは中等度のCYP3A4誘導剤を使用した患者
  • Pemigatinib、ゲムシタビン、シスプラチン又はこれらの賦形剤に対する過敏症又は重度の反応の既往がある
  • 治験薬投与開始前に受けた大手術による合併症及び/又は有害事象から十分に回復していない患者
年齢下限18歳以上
年齢上限上限なし
性別男性・女性
主要な評価項目無増悪生存期間
主要な評価方法ランダム化の日から疾患進行日(固形がんの治療効果判定基準[RECIST]v1.1に基づいて独立中央判定機関[ICR]が評価)又は死亡日のいずれか早い方までの期間と定義
副次的な評価項目全奏効率
副次的な評価方法最良総合効果として完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)(RECISTv1.1に基づいてICRが評価)を達成した患者の割合と定義
副次的な評価項目全生存期間
副次的な評価方法ランダム化の日からあらゆる原因による死亡日までと定義
副次的な評価項目奏効期間
副次的な評価方法CR又はPRの初回評価日から最初の疾患進行日(RECISTv1.1に基づいてICRが評価)又は死亡日のいずれか早い方までの期間と定義
副次的な評価項目病勢コントロール率
副次的な評価方法最良総合効果としてCR、PR又はSD(RECISTv1.1に基づいてICRが評価)を達成した患者の割合と定義
副次的な評価項目治験薬投与後に発現した有害事象
副次的な評価方法治験薬の初回投与後に初めての発現又は既存事象の悪化について報告された全てのAEと定義
予定試験期間2019年6月3日~2028年2月18日

出典:臨床研究等提出・公開システムより