再発・難治性のB細胞急性リンパ性白血病を対象にTecartusを評価したZUMA-3試験の結果を発表

2024/07/24

文:がん+編集部

 再発・難治性のB細胞急性リンパ性白血病を対象に、CAR-T細胞療法brexucabtagene autoleucel(製品名:Tecartus)を評価したZUMA-3試験の結果を発表。持続的な全生存期間の改善が認められました。

Tecartus、4年間の追跡調査で持続的な全生存期間の改善を示す

 ギリアド・カンパニーのKiteは2024年6月3日、ZUMA-3試験の4年間の全生存期間に関する最新データを2024年米国臨床腫瘍学会年次総会で報告したことを発表しました。

 ZUMA-3試験は、標準全身療法や造血幹細胞移植に奏効がみられない、または奏効後に再発した、急性リンパ性白血病を対象に、brexucabtagene autoleucelを評価した第1/2相試験です。主要評価項目は全完全寛解率、血液学的回復が不完全な完全寛解率、副次的評価項目は寛解維持期間、無再発生存率、全生存期間、微小残存病変陰性率、同種造血幹細胞移植率などでした。

 4年間の全生存期間の追跡調査の結果、治療を受けた全ての患者さんの全生存期間の中央値は25.6か月で、4年時点の全生存率は40%でした。安全性プロファイルは、3年時点での解析と一貫性が認められました。

 第1相および第2相試験の統合解析において、Tecartusの投与を受けた患者さんのフォローアップ期間の中央値は53.6か月でした。治療を受けた全患者さんにおける全生存期間の中央値は25.6か月、主要評価項目である完全寛解または血液学的回復が不完全な完全寛解を達成した患者さんでは47か月でした。26歳未満の患者さんの全生存期間の中央値は23.2か月、26歳以上の患者さんでは26.0か月でした。1つの前治療歴がある患者さんの全生存期間の中央値は60.4か月、2つ以上の前治療歴がある患者さんでは25.4か月でした。

 また、ブリナツモマブによる治療歴がある患者さん、治療歴のない患者さんの全生存期間の中央値は、それぞれ15.9か月と60.4か月でした。その後同種造血幹細胞移植を受けたレスポンダーの全生存期間の中央値は36.3か月、同種造血幹細胞移植を受けていないレスポンダーでは60.4か月でした。

 3年時点での解析以降、新たな有害事象や死亡例の発現はありませんでした。グレード3以上の感染症の発現は、26歳以上の患者さんおよびブリナツモマブによる治療歴がある患者さんでより多くみられました。

 ヴァンダービルト大学医学部血液学・腫瘍学准教授で、本試験の治験責任医師であるオラレカン O. オルウォレ医師は、次のように述べています。

 「B細胞急性リンパ性白血病は、予後が芳しくない、希少な急速進行性の血液がんです。再発または難治性の患者さんの場合、生存期間の中央値8か月未満です。従って、1回のbrexu-cel投与により、これらの患者さんの40%が4年後も生存していることは、実に意義のあることです。さらに、患者さんのその後の同種造血幹細胞移植の状態に関わらず、奏効持続期間および生存期間の改善が示されています」