ポートラーザ、切除不能な進行・再発扁平上皮非小細胞肺がんで承認

2019/07/03

文:がん+編集部

 切除不能な進行・再発扁平上皮非小細胞肺がんに対する治療薬として、ネシツムマブ(製品名:ポートラーザ)が国内承認されました。

ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体「ポートラーザ」

 日本イーライリリー株式会社は6月18日に、ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体ネシツムマブが、切除不能な進行・再発扁平上皮非小細胞肺がんに対する効能・効果で厚生労働省に承認されたことを発表しました。

 ネシツムマブを評価した臨床試験では、ステージ4の扁平上皮非小細胞肺がん1,093人を対象にネシツムマブ+ゲムシタビン(製品名:ジェムザール)+シスプラチンとゲムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビンまたはシスプラチン単独を比較しました。その結果、ゲムシタビン+シスプラチン併用療法より、ネシツムマブ+ゲムシタビン+シスプラチンの方が、全生存期間が有意に延長しました。

 EGFRとEGFが結合することで、がん細胞の増殖が活性化されます。ネシツムマブは、がん細胞に発現しているEGFRと選択的に結合することで抗腫瘍効果を発揮する分子標的薬です。また、ネシツムマブはがん細胞のEGFRと結合することで、NK細胞ががん細胞を認識し直接攻撃する「抗体依存性細胞障害(ADCC)活性」に効果的だと考えられています。

ネシツムマブ承認内容

販売名:ポートラーザ点滴静注液800mg
一般名:ネシツムマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺がん
用法・用量:ゲムシタビンおよびシスプラチンとの併用において、通常、成人にはネシツムマブ(遺伝子組換え)として1回800mgをおよそ60分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。