ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用、慢性リンパ性白血病の治験で生存期間を延長
2019/07/04
文:がん+編集部
治療歴のない慢性リンパ性白血病に対する第3相CLL14試験の結果、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法が、病勢が進行することなく有意に生存期間が延長され、投与中止後もその効果は持続しました。
投与終了3か月後、より高い完全奏効率および微小残存病変陰性率を達成
米国アッヴィ社は6月4日に、併存疾患があり、治療歴のない慢性リンパ性白血病対象に、化学療法を含まない経口投与による併用療法の12か月後終了を検討する、初めての無作為化臨床試験CLL14試験のデータを米国臨床腫瘍学会で報告したと発表しました。
CLL14試験は、慢性リンパ性白血病の標準治療であるオビヌツズマブとクロラムブシル(製品名:リューケラン)併用療法とベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法を比較した第3相臨床試験です。その結果、ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療は、無増悪生存期間を延長し、投与中止後も効果が持続しました。さらに、投与終了3か月後、より高い完全奏効率および末梢血中の微小残存病変陰性率を達成しました。
本試験で認められた有害事象は、ベネトクラクスとオビヌツズマブ各単剤で認められている安全性プロファイルと一致していました。最も多く発現したグレード3/4の有害事象は、発熱性好中球減少症と感染症でした。
ベネトクラクスは、BCL-2 タンパク質と選択的に結合し阻害する分子標的薬です。血液がんや他のがんではBCL-2 が過剰発現していることがあります。BCL-2が過剰発現していると、抗がん薬などでがん細胞を攻撃しても、細胞死や自己破壊を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2 タンパク質を標的とすることで、がん細胞で失われた細胞死や自己破壊の過程を回復させ、細胞死を誘導する作用があります。
CLL14試験の治験総括医師でケルン大学病院内科部長兼総合腫瘍センター長のマイケル・ハレック医師は「CLL14試験の結果から、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法は、併存疾患があり治療歴のないCLL患者さんを治療するための新規性のある合理的な方法と言えます。CLL14試験では、一定の治療期間で、既存の免疫化学療法と比較して長い無増悪期間が得られることが示されています」と、述べています。