人工知能を使って簡便に評価する白血病の薬剤耐性検査法を開発

文:がん+編集部

 白血病細胞の薬剤耐性を簡便に評価できる、人工知能(AI)を使った検査法が開発されました。治療前に薬剤耐性を把握することで、患者さんに合った投薬ができ、個別化医療の促進につながることが期待されます。

個別化医療を促進する新技術になると期待

東京大学大学院理学系研究科・理学部は7月10日、白血病細胞の薬剤耐性を評価する検査法を開発したことを発表しました。この検査法は、白血病患者さんから採血した全血中を特殊な高速明視野顕微鏡を使って無標識に連続撮影し、抗がん剤により生じた白血病細胞の微妙な形態学的変化(細胞の形の変化)を、AIを用いて高精度に検出するものです。この検査法は、同大大学院理学系研究科の小林博文特別研究員、雷誠特任助教、合田圭介教授らが、同大学大学院医学系研究科の安本篤史助教、矢冨裕教授と協力して開発したものです。

白血病治療では、強力な化学療法を行うため、副作用など患者さんに大きな負担がかかります。近年、個々の細胞の機能を直接測定することが、白血病の精密医療の1つとして注目されています。しかしながら現状は、白血病の薬剤耐性を調べるためには、希釈や溶血、分離、標識など多くの前処理が必要で、費用と時間、手間を要しています。

本研究ではまず、実際の白血病患者さんの血液を採取し、最も多く使われる1種類の抗がん剤を加え、24時間置きました。その後、特殊な顕微鏡「オプトフルイディック・タイムストレッチ顕微鏡」を用いて白血病細胞の画像を取得し、AIで白血病細胞の形態学的変化および薬剤耐性を評価。この検査法により、白血病患者の白血球と健常者の白血球を比較したところ、形態学的変化の差を検出しました。

研究チームは「この技術を応用し、さまざまな薬剤に対する耐性評価を行うことが期待されます。また、多くの薬剤に対する形態学的変化をデータベース化することで、標識化しない広範囲な血液検査が可能になるかもしれません。人工知能による高度な深層学習モデルを使うことで、患者個別の薬剤耐性を無標識の血液サンプルから迅速に検査することも可能になります。本検査法は、バイオマーカーに頼らずに、新たな個別化医療を可能とする技術として精密医療を促進させる可能性があります」と、述べています。