前立腺がん、がん細胞の増殖・骨転移を制御する遺伝子発見

2019/07/27

文:がん+編集部

 前立腺がんの細胞増殖と骨転移を制御する遺伝子が発見されました。新規治療法や骨転移の予防などに今後生かされることが期待されます。

ビッグデータ解析により制御因子を特定、新たな治療基盤の開発に期待

 愛媛大学は7月12日、前立腺がんの骨転移を制御する遺伝子であるGPRC5Aを同定し、GPRC5Aが前立腺がん細胞の増殖と骨転移を制御していることを明らかにしたと発表しました。同大プロテオサイエンスセンター病態生理解析部門 今井祐記教授、同大学院医学系研究科泌尿器科学講座雑賀隆史教授、沢田雄一郎大学院生らの共同研究グループによるものです。

 前立腺がんは、日本のみならず、世界的に非常に頻度の高い疾患。これまで前立腺がん細胞の遺伝子発現に関する極めて多くの情報は、米国立生物工学情報センターが管理するGEO(遺伝子発現情報のデータベース)など各種のデータベースに登録されています。そこで、このようなビッグデータを解析し、前立腺がんの骨転移を制御する因子について、詳細な解析を行いました。

 研究グループはまず、マウスの骨転移モデルから、骨転移しやすい細胞と骨転移しにくい細胞の遺伝子データをGEOから収集し、遺伝子の発現を比較。さらに、前立腺がん患者さんを骨転移の有無によりグループ分けし、遺伝子発現を比較しました。続けて、マウスと患者さんのデータで共通する遺伝子群を調べ、骨転移に関連する因子として7つの遺伝子を同定しました。中でも最も発現の変動が大きい遺伝子としてGPRC5Aを発見しました。

 また、GPRC5Aが前立腺がんの増殖や骨転移に関連していることを確認するため、マウスの骨に、ゲノム編集技術によりGPRC5A の発現を消去した前立腺がん細胞株を接種した実験を行いました。その結果、がん細胞の増殖が抑制されたことが確認されました。さらに255人のヒト生検組織を用いた解析も行うと、GPRC5A は前立腺がんの悪性度や骨転移の発生と相関があることが判明しました。

 本研究の成果で、前立腺がんの進展や病態の解明、新規治療法や骨転移の予防、骨転移発生の予測など治療基盤の開発が進むことが期待されます。