光免疫療法、安全性など治験の解析結果をESMOで発表

文:がん+編集部

 光免疫療法の臨床試験における、安全性、薬物動態、免疫原性(抗原が抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質)およびバイオマーカーに関する解析結果が発表されました。

一部の症例では、治療後に免疫活性の潜在的な兆候

 楽天メディカル社は10月1日、国内で行われたRM-1929による光免疫療法の第1相臨床試験、および米国で行われた第1/2a相臨床試験の解析結果を、スペインで行われている欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で報告したことを発表しました。発表内容は、探索的バイオマーカー、安全性、薬物動態、および免疫原性に関わる結果で、局所再発頭頸部がん患者を対象としたRM-1929による光免疫療法の安全性と抗腫瘍効果について評価されました。

 安全性に関しては、国内第1相、米国第1/2a相試験の対象患者さん41人中17人に、1つ以上の重篤な有害事象が発現し、うち5人は治療に関連した副作用と考えられました。しかし、大部分が治療部位に起きる局所的なものです。

 薬物動態に関しては、RM-1929の約4週間間隔での反復投与でも、1サイクル目の薬物動態と同等であり、抗薬物抗体の発現が低いことが示されました。

 米国第1/2a相試験で評価されたバイオマーカーに関しては、一部の症例で、治療部位における効果の有無に関わらず、治療後に免疫活性の潜在的な兆候が見られました。12人中8人でがん細胞と免疫細胞に対するPD-L1の発現が確認されました。また、治療前後の生検で、この12人の残存したがん細胞においてEGFRの発現が維持されており、光免疫療法の再治療の可能性の対象となることが示されました。18人中15人は、末梢血の免疫表現検査を実施した結果、治療後の自然免疫および適応免疫の活性化の可能性も示唆されています。

 今回の新たな解析結果は、現在行われている局所再発頭頸部がん患者さんを対象としたASP-1929の国際共同第3相臨床試験を後押しする内容です。

 同社のバイスプレジデント臨床開発本部長であるJeannie Hou氏は「今回の解析結果により、楽天メディカル社が開発する光免疫療法の安全性と薬物動態データがさらに明確になり、光免疫療法の潜在的な免疫活性に関する可能性を示しました。このことにより、今後、他のがん免疫療法との併用の可能性が開かれます。現在ASP-1929による国際共同第3相臨床試験が進行中です。これは新しい治療法を確立するために重要なステップであり、現在治療法が限られた頭頸部がんと闘う患者さんに対して、新たな治療選択肢の提供に繋がると信じています」と、述べています。

 光免疫療法は、まず、がん細胞に発現している特定のタンパク質と結合する抗体に、あらかじめ非熱性赤色光と化学反応を起こす光感受性物質(IRDye® 700DX)を付加した薬剤を静脈注射します。この抗体が体内でがん細胞に結合するのを待ち、その後、光ファイバーを病変に到達させて非熱性赤色光を照射します。光感受性物質が非熱性赤色光に反応して、がん細胞が破壊されます。さらに、破壊されたがん細胞の破片が免疫細胞に対する抗原となり、残ったがん細胞に対する免疫細胞の攻撃がさらに増強するという治療効果も期待されます。

 現在開発が進んでいる光免疫療法の薬剤は、抗体セツキシマブに光感受性物質IRDye® 700DXを付加した薬です。ASP-1929とRM-1929は同一の有効成分の薬剤で、どちらも未承認です。現在、国内外で頭頸部がんと食道がんの患者さんを対象に臨床試験が行われています。