EGFR陽性の肺がんに対する2剤併用の新治療法

文:がん+編集部

 EGFR遺伝子変異のある肺がんに対する新たな治療法の確立に向けた治験で、新治療法は従来の治療と比較して、再増悪リスクが40%以上減少されるとわかりました。

治験の結果、無増悪リスク40%以上減少

 近畿大学は10月5日、EGFR遺伝子変異を有する肺がん患者さんに対する国際共同比較第3相RELAY試験の結果を発表しました。

 RELAY試験は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(以下、EGFR-TKI)の1つであるエルロチニブ(製品名:タルセバ)と抗VEGFR-2抗体であるラムシルマブ(製品名:サイラムザ)の併用療法(以下、併用群)と、エルロチニブとプラセボ(以下、プラセボ群)を比較検討し、その有効性と安全性が評価されました。

 その結果、無増悪生存期間の中央値は併用群で19.4か月、プラセボ群で12.4か月(ハザード比:0.591)でした。病勢進行ならびに死亡リスクを40%以上減少させ、統計学的有意に無増悪生存期間の延長が認められました。

 また、EGFR遺伝子変異のサブタイプ(Exon19欠失およびxon21 L858R変異)のいずれにも、併用群による一貫した治療効果が観察されています。さらに、EGFR-TKIに抵抗性を示す、EGFRT790Mの発現率をみても、併用群とプラセボ群で差はなく、T790M発現率に影響を及ぼさないことも確認されました。

 肺腺がんの約半数にEGFR遺伝子変異が認められ、EGFR遺伝子変異陽性の患者さんでは、EGFR-TKIが有効とされています。この試験で示されたエルロチニブ+ラムシルマブ併用療法の無増悪生存期間は、これまで報告された同領域の試験より長く、新しい治療法として期待されます。また、がんの進展に対し血管新生にかかわる血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)も重要な役割をもつ1つの要因で、最近の研究でVEGFRを阻害することも有効であるとされています。そうした研究が進む中、EGFRとVEGFRの2つを同時に阻害する新しい治療法の開発が望まれています。