HER2陽性乳がんに対するパージェタとハーセプチン配合皮下注射剤の治験で、静注製剤に対し血中濃度の非劣性を示す

2020/01/22

文:がん+編集部

 HER2陽性乳がんに対するペルツズマブ(製品名:パージェタ)とトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)の固定用量による配合皮下注製剤の治験で、静注製剤に対して血中濃度の非劣性が示されました。

同等の有効性で、投与時間を大幅に短縮

 ロシュ社は2019年12月12日、臨床開発中のペルツズマブとトラスツズマブの固定用量による配合皮下注製剤について、第3相臨床試験FeDeriCa試験の新たな成績を発表しました。

 FeDeriCa試験は、HER2陽性早期乳がん患者さん500人を対象とした臨床試験です。術前および術後化学療法として、化学療法と併用したペルツズマブとトラスツズマブの固定用量による配合皮下注射剤とペルツズマブとトラスツズマブの静注性製剤を比較して、薬物動態、有効性、安全性で評価しました。

 配合皮下注射剤は静注製剤に対し、最低血中濃度の非劣性を示しました。また完全奏効率は、配合皮下注射剤59.7%、静注製剤59.5%でその差0.15%と両群でほぼ同等でした。安全性プロファイルに関しても両群で同等で、新たな安全性シグナルは認められませんでした。両群ともに認められた一般的な有害事象は、脱毛、悪心、下痢、貧血でした。

 静注製剤は、初回約150分、2回目以降60分~150分の投与時間がかかりますが、配合皮下注射剤は初回約8分、2回目以降約5分で投与できるため、患者さんの治療負担が減ることが期待されます。