中枢神経系転移のがん細胞の分子標的薬耐性を得るメカニズムを解明

文:がん+編集部

 中枢神経系に転移したがん細胞が、増殖因子を出すことで分子標的薬の耐性を得ているというメカニズムが発見されました。

中枢神経系転移したがんに、ALK阻害薬とEGFR阻害薬の併用が有効な可能性

 金沢大学は1月22日、中枢神経系に転移したがん細胞が、アンフィレグリンという増殖因子を自ら作り出すことで、分子標的薬から逃れるという耐性メカニズムを明らかにしたことを発表しました。同大がん進展制御研究所/ナノ生命科学研究所の矢野聖二教授、新井祥子特任助手と医薬保健研究域医学系の中田光俊教授らの共同研究チームによるものです。

 研究チームは、中枢神経系に転移を起こしやすいALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんモデルを用いて、アレクチニブの耐性株を作成し、耐性メカニズムを分析しました。分析の結果、アレクチニブ耐性株では、マイクロRNA-449aの発現が低下し、アンフィレグリンの発現が上昇することで、上皮成長因子受容体(EGFR)を活性化して薬剤耐性に至ることを発見しました。

 さらに、アレクチニブ耐性に対し、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のオシメルチニブを併用することで克服できることも明らかにしました。

 分子標的薬は、中枢神経系に転移したがんも抑制しますが、中枢神経系に転移したがん細胞は、ほかの臓器に転移したがん細胞と比べて耐性化しやすいことが問題となっています。今回の研究成果により、中枢神経系に転移したがんの治療成績向上につながると期待されます。