わずかな血液で肝細胞がんの検出ができる新たな診断ツールを開発

文:がん+編集部

 肝細胞がんを診断する新たな血液検査が開発されました。簡便かつわずかな血液で測定可能な検査法です。

肝臓がんと診断できる確率63.2%、肝臓がんではないと診断できる確率90%

 山口大学は3月11日、肝細胞がんの診断ツールとして、SEPT9遺伝子をターゲットとした、微量検体で定量測定の可能な高感度メチル化解析法を開発したことを発表しました。同大大学院医学系研究科臨床検査・腫瘍学講座の山﨑隆弘教授、末廣寛准教授、消化器内科学講座の坂井田功教授、消化器・腫瘍外科学講座の永野昭浩教授らの研究グループによるものです。

 SEPT9遺伝子のメチル化(遺伝子異常の1つ)を検出する大腸がん検査「Epi proColon(R)」が、米国で承認されており、肝臓がんの診断でも有用との報告があります。しかし、この検査には大量(約4mL)の血漿が必要で、検査の結果を数値化して表せないなどの問題があります。研究グループは、独自に開発したSEPT9高感度メチル化解析法により、この問題を解決することに成功しました。

 健常者80人、肝臓がんのない慢性肝障害患者さん45人、肝臓がん患者さん136人の計261人を対象に、SEPT9高感度メチル化解析を行ったところ、健常者は0.0コピー、慢性肝障害患者さんは2.0コピー、肝臓がん患者さんは6.4コピーと定量化することができ、肝臓がん患者さんで有意にSEPT9の上昇が認められました。

 また、4.6コピーを区切り(カットオフ値)とした解析では、肝臓がんと診断できる確率(検査感度)は63.2%、肝臓がんではないと診断できる確率(特異度)が90%という結果でした。肝臓がんの進行に伴い、陽性率は上昇しましたが、ステージ0/Aでも検査感度41.7%、特異度58.0%と高い検出感度を示しました。

 今後の展開として研究グループは、次のように述べています。

 「われわれ研究グループの開発した新たなリキッドバイオプシー検査は、簡便かつ微量検体測定可能で低コストの検査法であり、非ウイルス性肝がんのスクリーニング検査としても有用ではないかと考えています。今後、実用化に向けた研究を展開していく予定です」