樹状細胞にがん抗原を選択的に届ける新しい抗がんワクチンの効果を動物実験で確認

文:がん+編集部

 がん細胞を攻撃するキラーT細胞を活性する樹状細胞に、がん抗原を選択的に送り届ける新しい抗がんワクチンの効果が、動物実験で確認されました。

免疫チェックポイント阻害薬との併用で、より顕著にがん増殖を抑制

 和歌山県立医科大学は3月16日、がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)を活性化する樹状細胞サブセット「XCR1陽性樹状細胞」に、がん抗原ペプチドを選択的に送り届ける新規の抗がんワクチンを開発したことを発表しました。

 がん細胞を攻撃するT細胞を活性化するには、T細胞に抗原を提示する抗原提示細胞が重要な役割を果たします。また、抗原提示細胞としては、樹状細胞やマクロファージなどが知られていますが、特に「XCR1陽性樹状細胞」と呼ばれる細胞が、キラーT細胞を誘導する活性が強く、がんに対する防御免疫の鍵を握ることがわかってきました。

 そこで研究グループは、XCR1と選択的に結合するタンパク質「XCL1」と、がん抗原ペプチドを連結させた「がん抗原ペプチド連結ワクチン(XCL1抗原ペプチド連結ワクチン)」を作成。マウスを用いた実験で、抗がん作用を、免疫チェックポイント阻害薬との併用効果を含めて検討しました。

 動物実験では、XCL1抗原ペプチド連結ワクチンと免疫チェックポイント阻害薬併用群、未投与群、免疫チェックポイント阻害薬単独群、XCL1抗原ペプチド連結ワクチン単独群の4つグループでがんの大きさを測定したところ、併用群でがんの増殖が顕著に抑制されました。

 XCR1陽性樹状細胞はヒトにも存在し、キラーT細胞の誘導、免疫チェックポイント阻害薬の作用にも関与していることがわかってきています。今後、さまざまながん抗原をXCR1陽性樹状細胞に選択的に送り届ける、新たながん免疫療法の開発が期待されます。