難治性がんに対する抗腫瘍効果があるマイクロRNA「miR-1923」を同定

文:がん+編集部

 難治性がんに対して抗腫瘍効果のあるマイクロRNAが同定されました。マイクロRNAの投与による、新規核酸抗がん薬開発への応用が期待されます。

マイクロRNA「miR-1923」、動物実験でがん細胞の細胞死を誘導し抗腫瘍効果を確認

 東京医科歯科大学は4月20日、多様な難治性がんに対して抗腫瘍効果のあるマイクロRNAを同定し、試験管内や動物実験でその効果を確認したことを発表しました。同大難治疾患研究所・分子細胞遺伝分野の玄泰行助教、稲澤譲治教授と大学院医歯学総合研究科顎口腔外科学分野の髙川祐希大学院生らの研究グループによるものです。

 分子標的薬は、投与中に比較的高頻度に薬剤耐性が起こることが知られており、次世代の医薬品として核酸抗がん薬の開発が注目されています。核酸の一種であるマイクロRNAは、複数の標的遺伝子の発現を抑制する働きがあり、核酸抗がん薬の開発が進められています。

 研究グループは、抗がん核酸薬のとなりうる新規のがん抑制型マイクロRNAを同定するため、現在登録されているヒトマイクロRNAの約96%を網羅する2,565種類のマイクロRNAの抗腫瘍効果を多種多様ながん細胞で調べた結果、抗腫瘍効果のきわめて強い7種類のがん抑制型マイクロRNAを候補として同定しました。

 また、詳細な解析を行ったところ、7種のうち3種類のマイクロRNAが、がん治療の標的として注目されている「BRD4」遺伝子を直接抑制していることも明らかにしました。さらに研究グループは、最も抑制効果の高かったマイクロRNA「miR-1923」を試験管内と動物実験で検証。がん細胞の細胞死を誘導し、BRD4の抑制に加えて、DNA修復経路に関わる複数の遺伝子を直接の標的としてそれらの機能を抑制することが明らかとなりました。

 研究グループは、研究成果の意義として次のように述べています。

 「本研究では、2,565種類のヒトマイクロRNAの中から顕著な抗腫瘍効果を示すmiR-1293を同定しました。miR1293はBRD4とDNA修復経路に関わる複数の遺伝子の機能を抑制することで、がん細胞にDNA損傷の蓄積を惹起し、その結果、強い抗腫瘍効果を発揮することを明らかにしました。miR-1293を用いた核酸治療(核酸抗がん薬)は難治がんに対する新たな治療戦略となる可能性があります」