オプジーボ+ヤーボイ+化学療法併用療法、進行非小細胞肺がんの一次治療として全生存期間を改善

2020/06/02

文:がん+編集部

 進行非小細胞肺がん患者さんに対する一次治療の治験で、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)併用療法に、限定的に化学療法を追加した治療法が、化学療法と比較して全生存期間を改善しました。

中間解析では、併用療法は化学療法に比べ死亡リスクを31%低減

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は5月13日、ニボルマブとイピリムマブの併用療法に化学療法2サイクルを追加した併用療法が、進行非小細胞肺がんの一次治療薬として、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間の改善を示した第3相CheckMate-9LA試験の結果を初めて公表したことを発表しました。

 CheckMate-9LA試験は、PD-L1発現レベルおよびがんの組織型にかかわらず、進行非小細胞肺がん患者さんに対する一次治療として、ニボルマブ(360mgを3週間間隔)+イピリムマブ(1mg/kgを6週間間隔)+化学療法(2サイクル)併用療法のグループと、化学療法(4サイクル)後に適格であればペメトレキセド(製品名:アリムタ)による維持療法を任意で行ったグループを比較した臨床試験です。両グループともに、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで行われました。

 予め計画されていた中間解析(最短8.1か月)では、併用療法は化学療法に比べて死亡リスクを31%低減しました。さらに、長期の追跡調査(最短12.7か月)でも併用療法の全生存期間の持続的な改善が示されました。

 また、PD-L1発現率が1%未満の患者さんの全生存率は 38%、PD-L1発現率が1%以上の患者さんは 36%で死亡リスクを低減しました。さらに、1年無増悪生存率は、併用療法33%に対し化学療法は18%、奏効率は併用療法の38%に対し化学療法は25%でした。

 PD-L1発現および腫瘍の組織型(扁平上皮がんまたは非扁平上皮がんの両組織型)を含む患者集団の重要なサブグループで、すべての有効性評価項目において、臨床的な有効性が示されました。安全性に関しては、これまで認められていたものと一貫していました。

 CheckMate-9LA試験の治験担当医師である、ドイツ肺疾患研究センターグロスハンスドルフ肺クリニックのMartin Reck医学博士は、次のように述べています。

 「ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、ファーストラインの非小細胞肺がん患者さんの生存期間を延長することが示されており、化学療法のサイクルを限定して追加することにより、早期の病勢進行のリスクを低減できる可能性があります。CheckMate-9LA試験のこれらの結果により、この免疫療法薬の2剤併用療法に化学療法2サイクルを追加することで、この患者集団において生存ベネフィットが示されるというエビデンスを得ることができました。このベネフィットは早期に示され、1年間の追跡調査において、患者の重要なサブグループ全体で持続しました。今後、データがより詳細になるとともに、生存ベネフィットが高まる可能性があると考えています」