アーリーダ+ADT併用療法、転移のない去勢抵抗性前立腺がんで全生存期間を延長

2020/06/26

文:がん+編集部

 遠隔転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対し、アパルタミド(製品名:アーリーダ)とアンドロゲン除去療法(ADT)併用療法を評価した治験で、全生存期間の有意な延長が示されました。

全生存期間の中央値を14か月延長し、死亡リスクを22%減少

 ヤンセンファーマは5月13日、遠隔転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対するADT併用下のアパルタミドを評価した第3相SPARTAN試験の最終解析の結果を発表しました。

 SPARTAN試験は、遠隔転移のない去勢抵抗性前立腺がん患者さん1207人を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験です。ADT併用下でアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬のアパルタミド240mgを1日1回経口投与するグループと、プラセボを1日1回投与するグループに、2対1に割り付けられ比較されました。

 最終解析の結果、全生存期間の中央値を14か月延長し、死亡リスクを22%減少させました。試験期間中に、主要評価項目の無転移生存期間が達成されたため、プラセボを投与されていた患者さんもアパルタミドによる治療に切り替えられました。途中からアパルタミドが投与された患者さんの結果を調整した結果、全生存期間の中央値は21か月延長し、死亡リスクが31%減少しました。SPARTAN試験は、主要評価項目、副次評価項目、探索的評価項目をすべて達成しています。

 安全性に関して、グレード3および4の有害事象は、皮疹、骨折、転倒、虚血性心疾患、甲状腺機能低下症、痙攣発作。10%以上に認められた主な副作用は、疲労、高血圧、皮疹、下痢、悪心、体重減少、関節痛、転倒、ほてり、食欲減退、骨折、末梢性浮腫でした。安全性および忍容性はこれまでに報告された安全性プロファイルと一致していました。

 ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社のバイスプレジデントで前立腺がん領域リーダーであるMargaret Yu博士は、次のように述べています。

 「今回の全生存期間の延長の結果により、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんと診断された患者さんの治療にアーリーダを使用することを支持する臨床データがさらに加わりました。現在、アーリーダの承認申請を目的とした5件の第3相試験を実施しています。これらの試験を通して、さまざまな病期の前立腺がんと診断された患者さんの治療法の開発に尽力してまいります」