テセントリクと化学療法併用、早期トリプルネガティブ乳がんに対する臨床試験で主要評価項目を達成

2020/07/21

文:がん+編集部

 早期トリプルネガティブ乳がんに対する術前薬物療法として、化学療法とアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)の併用療法を評価した臨床試験で、完全奏効率を達成しました。

IMpassion031試験、早期トリプルネガティブ乳がんにおけるテセントリクの有用性を示した初の試験

 中外製薬は6月18日、早期トリプルネガティブ乳がんに対し、アテゾリズマブと化学療法を併用した術前化学療法を評価した第3相臨床試験IMpassion031試験において、主要評価項目を達成したことを発表しました。

 IMpassion031試験は、早期トリプルネガティブ乳がん患者さん333人を対象に、アテゾリズマブと化学療法(パクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド)を併用するグループと、化学療法(プラセボとパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド)のグループを比較して、有効性と安全性を評価した臨床試験です。

 主要評価項目は、治療の中止や治験から脱落した患者さんを含む全患者さん(ITT解析集団)およびPD-L1の発現が認められる患者さんに対する完全奏効でした。試験の結果、PD-L1の発現にかかわらず、統計学的有意にかつ臨床的に意義のある完全奏効を改善しました。

 安全性に関しては、これまで認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 同社の代表取締役社長 COOの奥田 修氏は、次のように述べています。

 「テセントリクは、乳がん領域で初めて承認された免疫チェックポイント阻害剤です。今回、早期のトリプルネガティブ乳がんに対しても良好な成績を示したことを嬉しく思います。トリプルネガティブ乳がんは進行が早く、予後不良かつ治療選択肢が限られており、アンメットメディカルニーズが高い疾患です。患者さんに新しい治療選択肢を一日も早くお届けできるよう、引き続きロシュとの協働を進めてまいります」