前立腺がんの症状と病期の理解度に関する調査レポート発表

文:がん+編集部

 前立腺がんの症状と病期に対する理解の向上を呼び掛ける「アジア太平洋前立腺がん患者合同会議」の調査レポートが発表されました。

日本人の前立腺がん患者さんは、病期に関係なくネガティブな感情を抱く傾向

 アジア太平洋前立腺がん患者合同会議は、前立腺がんが病期の違いによってどのような症状が発現するかなど、より多くの方が理解を深め、早期発見と治療効果の向上につながることを目的とした「Not All Prostate Cancer is the Same」という調査レポートを2020年6月10日発行のBritish Journal of Urology International (オーストラリア・ニュージーランド増補版)で発表しました。

 今回の調査により判明した極めて重大なことは、アジア太平洋地域の前立腺がん患者さんの大多数が前立腺がんについての知識がないか、限られた知識しかもっていないかのいずれかであったということです。さらに、前立腺がん患者さんの大多数は、診断までに主に排尿障害などの症状を経験しますが、これらの症状があっても医療従事者に診てもらうことがほとんどないとわかりました。このことから、多くが排尿の問題と前立腺がんに関連がある可能性を知らず、加齢による影響の一部に過ぎない、あるいは深刻な問題ではないとの認識を持っていたと推測されます。

 また、ほとんどの患者さんは前立腺がんが病状の進行によりいくつかの病期に分かれていることは知っていましたが、大多数の患者さんは具体的な病期の違いまでは理解していませんでした。また、台湾50%、韓国17%、オーストラリア13%、中国10%、日本7%と国によって理解度が異なっていました。

 同じ前立腺がん患者さんでも、病期によって関心事は異なります。初期は、「病気の進行と治療選択肢」ですが、進行していくと、「疼痛と身体的な変化」となり、精神状態も進行に伴い変化します。対象地域全体では、1~3期の患者さんはポジティブな感情を抱いていますが、進行した患者さんではネガティブな感情が高まる傾向にあります。一方、日本人の患者さんは、病期に関係なくネガティブな回答が多く、ポジティブな回答はほとんどありませんでした。