がん種の特定を可能にする、血液を用いた新たながん診断法の開発

文:がん+編集部

 がんの有無やがん種特定を可能にする、血液を用いた新たながん診断法の開発につながる研究成果が発表されました。

機械学習の結果、がん診断法として感度90%特異度95%

 東京工業大学は8月28日、すべての細胞から産生される微小胞である「エクソソーム」に共通するエクソソームマーカーを発見し、それを用いた新たながん診断法を開発したことを発表しました。同大生命理工学院生命理工学系の星野歩子准教授らとコーネル大学をはじめとする研究機関によるものです。

 研究グループは、426のヒト由来サンプルの分析から、血漿、血清、手術組織などさまざまな組織のエクソソームで共通するエクソソームマーカーの候補を見つけました。さらに、機械学習によって、がんの有無やがん種を特定できることを確認しました。

 今回の研究成果から、膵臓がんなど早期発見が難しいがん種の特定や、原発不明がんの原発巣の特定も期待されます。1つのソース(1つのがん細胞)に頼った診断では、偽陰性となることもあります。エクソソームから得られる情報を用いれば、体内のさまざまな細胞ががんの存在に対して反応するすべてをバイオマーカーとして活用できるため、偽陰性を低くできる可能性があります。今回行われた機械学習では、がんと診断される感度が95%、がんではないと診断される特異度が90%という結果でした。

 今後の展開として研究チームは、次のように述べています。

 「本研究では、エクソソーム含有タンパク質が、がんの有無の判定だけでなく、がん種の特定にも役立つことが分かりました。今後はさらにサンプル数を増やして分析を行い、がん種についてもさらに幅広く検討する必要があります。今回は概念実証としての論文となりましたが、今後実用化に向けて研究を進めていく予定です。さらに、本研究では必要なタンパク質パネルが特定されましたが、今後はそのすべてが必要であるか、どのパネルの使用が最も有用であるかについても検討します」