光免疫療法の治療薬、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんの効能・効果で国内承認

2020/10/06

文:がん+編集部

 切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対する光免疫療法が国内で承認されました。

第2a相臨床試験の奏効率は43.3%、国内第1相臨床試験では奏効率66.7%

 楽天メディカルジャパンは9月25日、がん細胞を壊死させる新しい局所治療に用いる医薬品セツキシマブ サロタロカンナトリウム(製品名:アキャルックス点滴静注250㎎)について、「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」を効能・効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、海外の局所再発頭頸部がんを対象とした第1/2a相臨床試験 (39例)、並びに国内第1相臨床試験 (3例) の結果に基づくものです。また、本剤と組み合わせて使用する装置、PDT半導体レーザ(製品名:BioBladeレーザシステム)も、9月2日に承認を取得しています。

 第2a相臨床試験の結果では、奏効率43.3%(完全奏効13.3%、部分奏効30.0%)でした。国内第1相臨床試験では、3人のうち2人が部分奏効でした(奏効率66.7%)。

 今回承認された光免疫療法に使用するセツキシマブ サロタロカンナトリウムは、抗EGFR抗体薬セツキシマブと光感受性物質の「IRDye700DX」を結合させた抗体薬物複合体です。セツキシマブ サロタロカンナトリウムを点滴静注し、がん細胞に発現しているEGFRと結合させることでIRDye700DXをがん細胞に届けます。その後、PDT半導体レーザを使用し、IRDye700DXに反応する近赤外線を照射することでがん細胞が破壊されます。破壊されたがん細胞の破片ががん抗原となることで、免疫細胞によるがん抑制効果も期待されている治療法です。

 同社の代表取締役会長である三木谷 浩史氏は、次のように述べています。

 「がんの父を救いたいと願う中で出会った、日本人研究者が開発した治療を、がんと闘う患者さんへ一日でも早く届けるために挑戦し続けてきました。本日、世界に先駆けた日本での承認を感慨深い思いで受けました。ただ、これは、挑戦の始まりです。世界中の一人でも多くの患者さんの治療とQOL(生活の質)の向上に、貢献していかなければなりません。“がんを克服する”、この壮大な夢を皆さんと共に実現していきます」

製品概要

アキャルックス®BioBlade®
製品名アキャルックス®点滴静注250mgBioBlade®レーザシステム
一般名セツキシマブ サロタロカンナトリウム (遺伝子組換え)PDT半導体レーザ
規制区分生物由来製品、劇薬、処方箋医薬品高度管理医療機器(クラスIII)
医薬品:
効能・効果
医療機器:
使用目的又は効果
切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌に対して使用することを目的としたレーザ装置であり、以下の医薬品と組み合わせて使用する
(併用医薬品)
一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム (遺伝子組換え)
販売名:アキャルックス®点滴静注250mg
医薬品:
用法・用量
通常、成人にはセツキシマブ サロタロカンナトリウム (遺伝子組換え) として、1日1回640mg/m2(体表面積)を2時間以上かけて点滴静注する。点滴静注終了20~28時間後にレーザ光を病巣部位に照射する
作用機序本治療は、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体 (EGFR) モノクローナル抗体 (IgG1) であるセツキシマブと色素 (IRDye®700DX、以下「IR700」) を結合させたアキャルックス®が、がん細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合し、BioBlade®によって波長690nmのレーザ光照射により活性化させたIR700が光化学反応を起こし、がん細胞の細胞膜を傷害することにより殺細胞効果を示すと考えられています