リムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として欧州承認

2020/12/18

文:がん+編集部

 BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、オラパリブ(製品名:リムパーザ)が欧州で承認されました。

PROfound試験、BRCA1/2陽性患者さんに対しリムパーザは無増悪生存期間および全生存期間を延長

 アストラゼネカと米メルクは11月5日、相同組換え修復(HRR)関連遺伝子のうちBRCA1/2変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんにおける治療薬としてオラパリブが欧州で承認されたことを発表しました。今回の承認は、PROfound試験のサブグループ解析の結果に基づくものです。

 PROfound試験は、新規ホルモン製剤による治療歴のある進行がんでかつBRCA1/2、ATM、またはその他12のHRR関連遺伝子のいずれかに変異が見られる転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に、2つのコホートで構成された第3相臨床試験です。オラパリブと新規ホルモン薬であるアビラテロン(製品名:ザイティガ)またはエンザルタミド(製品名:イクスタンジ)を比較して有効性と安全性を評価しました。主要評価項目はBRCA1/2またはATM遺伝子変異がある患者さんの無増悪生存期間でした。

 試験の結果、BRCA1/2遺伝子変異陽性患者さんを対象としたサブグループ解析で、無増悪生存期間および全生存期間の延長が示されました。

 PROfound試験の治験責任医師の一人であり、ロンドンのThe Institute for Cancer Researchの医薬品開発部門および王立マースデン病院の責任者であるJohann de Bono氏は次のように述べています。

 「今回の欧州での承認は、前立腺がんにおけるプレシジョン・メディシンの新たな時代の幕を開けとなるものといえます。これにより、これまで予後が悪く治療選択肢が限られていた進行性前立腺がんの患者さんに対して、分子標的治療薬としてリムパーザを提供することができるようになります」