日本人の遺伝的個人差やがんの遺伝子変異などを検出する手法を開発

文:がん+編集部

 従来の方法よりもDNAの塩基配列を長く解読できる「長鎖シークエンサー」のデータから、遺伝子変異などを検出する方法を開発。日本人の遺伝的な個人差(遺伝的多様性)とがんの遺伝子変異などに関する解析が行われました。

がんの変異や遺伝性疾患の原因遺伝子の探索に役立つ可能性

 東京大学は5月6日、長鎖シークエンサーのデータから、ヒトの遺伝的多様性とがんの変異などを検出する方法を開発し、日本人サンプルを用いて解析を行ったと発表しました。同大大学院医学系研究科国際保健学専攻の藤本明洋教授らの研究グループによるものです。

 近年、次世代シークエンサーなどを用いて、がんや遺伝性疾患の原因となる遺伝子変異の探索が行われていますが、DNA配列の逆転などの異常を検出することは非常に困難でした。その後、遺伝子の構造異常の解析に有用と考えられる「長鎖シークエンサー」が開発され、塩基配列を長く読み取ることができるようになりましたが、エラー率が高く、遺伝的多様性やがんの変異などの構造異常を検出する手法は確立されていませんでした。

 今回研究グループは、長鎖シークエンサーのデータから構造異常を検出する手法を開発し、それを用いて日本人の遺伝的多様性とがんの遺伝子変異の全体像の解明を試みました。

 11人の日本人サンプル由来の正常組織とがんの全ての遺伝情報解析を行った結果、遺伝的多様性とがんに変異が生じるメカニズムの違いが示唆されました。

 研究グループは、今回の発表について、次のように述べています。

 「本研究では長鎖シークエンス技術の解析手法を構築するとともに、ヒトゲノムの多型や変異の全体像の解析を行いましたが、今回開発した手法は遺伝性疾患の原因遺伝子探索やがんの変異解析にも利用可能であり、貢献が期待されます」