HPVが関与しない子宮頸がんの発症メカニズムを解明

文:がん+編集部

 HPVの感染にかかわらない、子宮頸がんの発症メカニズムが解明されました。

WAPL、子宮頸がんの新たな治療標的となる可能性

 東京医科大学は5月17日、HPVが関与しない子宮頸がんの発症メカニズムを解明し、世界ではじめて子宮頸部前がん病変のモデルマウスの作製に成功したことを発表しました。同大分子病理学分野の黒田雅彦主任教授の研究グループによるものです。

 子宮頸がんの発症には、感染したHPVが発現するE6およびE7遺伝子産物が重要な役割を果たしています。研究グループは、これまでにHPVに感染した前がん病変(子宮頸部上皮内腫瘍、CIN)から、子宮頸がんになる過程で、「WAPL」という分子が、染色体の不安定性を引き起こすことで、がんが発症することを明らかにしていました。また、子宮頸がんの発症には、E6/E7の発現だけではなくエストロゲン受容体シグナリングの活性が必須であることが示される一方で、進行した子宮頸がんではE6/E7が消失していることもあり、その発症メカニズムは不明のままでした。

 研究グループは、WAPLを過剰発現し、E6/E7を発現しないマウスを作製。するとこのマウスは、WAPLを過剰発現していればE6/E7がなくてもCIN病変を発症しました。また、エストロゲン受容体1が野生型と比べて減少していたにも関わらず、エストロゲン受容体1により制御される細胞増殖因子の「MYC」と「サイクリンD1」が高レベルで発現していました。

 さらに詳しく調べたところ、WAPLがMono-ADP-ribosylhydrolase 1(MACROD1)を活性化することで、エストロゲン受容体1の感受性が高まり、その結果、子宮頸がん細胞のMYCとサイクリンD1の発現が誘導されることが明らかにされました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「この成果は、HPVワクチンが無効なHPV陰性の子宮頸がんに対する新たな治療法の開発につながる可能性があります」