新たな粒子線がん治療法「ミニビーム」の高分解能撮像に成功

文:がん+編集部

 新たな粒子線がん治療法「ミニビーム」の線量分布を、わずか数分で画像化することに成功しました。画像化できたことで、正常細胞への影響を少なく、従来の治療と同等の治療効果が得られるミニビームによる治療が可能になると期待されます。

正常細胞への影響を少なく、従来の治療と同等の治療効果が得られるミニビーム治療が可能に

 名古屋大学は5月24日、がん治療に用いる陽子線を1mmのスリット状にした「ミニビーム」の形状を、高分解能で撮像することに成功したことを発表しました。同大大学院医学系研究科総合保健学専攻の山本誠一教授、矢部卓也大学院生と、兵庫県立粒子線医療センターの赤城卓博士の共同研究グループによるものです。

 粒子線によるがん治療の新たな治療法としてミニビームが提案されています。この治療法は、粒子線ビームをスリット状にして病変に照射しても、正常組織への影響が少なく、がん細胞に対しては従来の治療と同じ治療効果が得られる可能性があり、海外では臨床応用の準備が進んでいます。しかしミニビームは構造が細かく、その線量分布を短時間で実測することは困難でした。

 これまでに、粒子線が水やアクリルブロック中で微弱光を発するため、この光を高感度カメラで撮像することで、粒子線の線量分布を画像化できることが実証されていました。今回、1mm幅の複数のスリットで構成される陽子線ビームの形状を、数分で高分解能撮像することに成功。ビームは表面付近でスリット状に分布し、ビームの終端部では均一になる典型的なミニビームの分布の実測画像を得ることができました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「本研究は、これまで短時間測定が困難だったミニビームの線量分布を、わずか数分で画像化できることを示した世界初の成果です。今後、治療で用いられる他の種類のミニビームにも利用されることが期待されます」