同種造血幹細胞移植後の合併症を、血液検査で高い精度で予測

文:がん+編集部

 血液がんの治療の1つ「同種造血幹細胞移植」後に起こるの重大な合併症を、血液検査により特定のタンパク質を測定することで、早期に高い精度で予測できることがわかりました。

血栓性微小血管症の発症予測や予防、早期治療の可能性に期待

 大阪市立大学は7月16日、同種造血幹細胞移植後の重大な合併症の1つ「血栓性微小血管症」を、血液検査で高精度に予測できることを発見しました。同大大学院医学研究科血液腫瘍制御学の岡村浩史病院講師、中前博久准教授らの研究グループによるものです。

 ドナーとなる健常者の造血幹細胞を、血液がん患者さんに移植する同種造血幹細胞移植は、血液がんを完治できる可能性がある一方、命に関わる多くの合併症が引き起こされることが課題となっており、その合併症の1つが血栓性微小血管症です。

 血栓性微小血管症は、移植治療後にさまざまな臓器の小さな血管が傷害されることで血栓ができ、多臓器に障害を引き起こす命に関わる重大な合併症です。しかし、その発症メカニズムは不明で、治療法も確立されていません。

 研究グループは今回、同種造血幹細胞移植を行う前後の患者さんの血液を調べました。その結果、血栓性微小血管症を発症した患者さんは発症していない患者さんに比べ、血栓性微小血管症発症前の移植後7日目に、「Ba」というタンパク質の血中濃度が著しく高いことを発見。移植後7日目にBa値が高い患者さんは、合併症による死亡リスクが高いこともわかりました。また、BaはB因子と呼ばれる補体(免疫の役割を担っている血中タンパク質の一群)が分解されたタンパク質であることから、血栓性微小血管症の発症には移植後早期からB因子が作用していることが明らかになりました。

 研究グループの岡村 浩史病院講師は、次のように述べています。

 「同種造血幹細胞移植治療において、命に関わる合併症は大きな課題ですが、その中にはメカニズムがよくわかっておらず、発症予測や診断が困難なもの、治療法が確立されていないものがたくさんあります。我々の研究結果が、血栓性微小血管症の適切な発症予防法に繋がることを期待しています。引き続き、同種造血幹細胞移植の治療成績向上を目指し、研究を続けていきたいと思います」