体内にあるがん細胞を体を傷つけずに可視化する技術を開発

文:がん+編集部

 体を傷つけずに身体の内部を可視化する「生体蛍光イメージング」という技術で使う、新たな色素を開発。マウスによる動物実験で、乳がん細胞の可視化に成功しました。

乳がん細胞を移植したマウス実験で、高感度にがんの検出に成功

 理化学研究所は8月2日、「生体蛍光イメージング」で使用する安全性が高い「短波赤外蛍光色素」の開発に成功し、マウスに移植したの乳がん細胞を高感度で検出することに成功しました。同研究所生命機能科学研究センターナノバイオプローブ研究チームの神隆チームリーダー、北海道大学大学院先端生命科学研究院の門出健次教授らの共同研究グループによるものです。

 「生体蛍光イメージング」は、体内から発せられる蛍光を検出し、体を傷つけずに体内を可視化する技術です。これまでは、近赤外光という光を利用していましたが、最近では、より深く鮮明に可視化できる「短波赤外光」が注目されています。ナノバイオプローブ研究チームはこれまでに、短波赤外蛍光を発する蛍光剤を開発してきました。しかし、既存の短波赤外蛍光剤はいずれもヒトへの毒性の問題があり、医療応用は困難でした。そのため、安全な蛍光剤の開発が世界的に進められていましたが、ヒトに応用可能なものは未開発でした。

 研究グループは今回、ヒトでの使用が唯一認められている近赤外蛍光色素「インドシアニングリーン」をもとに、新たな短波赤外蛍光色素を開発。これにより、安全な蛍光剤を簡易に作製できるようになりました。実際に、この蛍光剤を使い、乳がん細胞を移植したまマウスで実験したところ、高感度でがん細胞の検出に成功しました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「本研究成果により、乳がん腫瘍を高感度に検出することや、ウイルス感染に伴う免疫・炎症などの生体反応を可視化することが可能になりました。短波赤外蛍光イメージング技術が医療分野で大きく前進するものと期待できます」