肺がん治療薬のKRAS阻害薬「ソトラシブ」、効果を妨げる原因は遺伝子異常

文:がん+編集部

 肺がん治療薬であるKRAS阻害薬「ソトラシブ」の効果を妨げる原因が、遺伝子異常にあることが明らかになりました。KRAS阻害薬が効かなくなった患者さんへの新たな治療法の開発が期待されます。

「KRAS阻害薬+MET阻害薬」併用、KRAS遺伝子異常に対する治療法として有望な可能性

 近畿大学は8月7日、肺がん薬物治療で使用されるKRAS阻害薬「ソトラシブ」の効果が一時的である原因を解明したことを発表しました。同大学医学部内科学教室の鈴木慎一郎助教らの研究チームによるものです。

 肺がんなど多くのがんでみられるKRAS遺伝子異常は、発がん原因の1つです。KRAS遺伝子異常に対するKRAS阻害薬が米国で承認され使用されていますが、KRAS阻害薬でいったん腫瘍が小さくなっても、11か月後以降に再び増大する傾向がみられ、治療上の大きな問題となっていました。

 研究グループは、本来KRAS阻害薬で治療効果が得られる肺がん細胞モデルに、KRAS阻害薬を長期間投与する実験を行ったところ、新たにMET遺伝子の増幅異常が起こり、KRAS阻害薬の治療を続けても過剰に肺がん細胞の増殖が続くことを明らかにしました。さらに、マウスによる動物実験で、KRAS阻害薬だけでは腫瘍が縮小しないこと、同時にMET阻害薬を投与することで腫瘍が縮小することがわかりました。

 このことから、MET遺伝子異常がKRAS阻害薬への治療抵抗性の原因であること、KRAS遺伝異常がある患者さんに対し、MET阻害薬とKRAS阻害薬を併用する治療法が有望であることが示唆されました。