肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の画像バイオマーカーを発見

文:がん+編集部

 切除不能の肝細胞がんに対する、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を予測する画像バイオマーカーが発見されました。

画像検査による負担の少ない検査で、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を判定

 近畿大学は8月19日、切除不能の肝細胞がん患者さんに免疫チェックポイント阻害薬が効くかどうかを予測するための指標として、「EOB-MRI」という造影MRI検査が画像バイオマーカーとなることを発表しました。同大医学部内科学教室(消化器内科部門)の工藤 正俊主任教授を中心とする研究グループによるものです。

 肝臓がんの一部では、肝細胞の変異によりがん細胞内に免疫細胞が入り込むことができない患者さんがおり、こうした患者さんは免疫チェックポイント阻害薬の効果が十分発揮されないことがあります。がん細胞を採取して調べる生検でがん細胞内の遺伝子変異を調べることができますが、出血リスクなど患者さんの負担が大きくなります。そのため、患者さんの負担が少ない別の方法が求められていました。

 研究グループが、免疫チェックポイント阻害薬の治療開始直前に、造影MRI検査「EOB-MRI」により撮影された画像とその後の病状経過を調べたところ、画像中の背景の肝臓と比べ、同等もしくは少し白く映ったしこりがあると、免疫チェックポイント阻害薬の効果が少なくがん細胞の増殖が速いことがわかりました。

 このことから、EOB-MRI検査で免疫チェックポイント阻害薬の効果予測を判別できる可能性があります。現在、切除不能の肝細胞がんに対する一次治療は、「アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)+ベバシズマブ(製品名:アバスチン)」が推奨されていますが、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を事前に予測することで、患者さんにあった治療選択を行うこともでき、患者さんの負担が少ない肝細胞がんの個別化治療の第一歩となる可能性があります。