「レンビマ+キイトルーダ」、進行性腎臓がん・子宮内膜がんの適応でCHMPが承認勧告

2021/11/18

文:がん+編集部

 「レンバチニブ(製品名:レンビマ)+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法が、進行性の腎臓がんと子宮内膜がんに対する効能・効果で、欧州医薬品委員会(CHMP)から承認勧告を受けました。

進行性腎臓がんの死亡リスク34%、進行性子宮内膜がんの死亡リスクを38%減少

 エーザイと米メルク社は10月18日、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法が、2つのがん種に対する効能・効果で、CHMPから承認勧告を受けたことを発表しました。今回承認勧告を受けたのは、「成人の進行性腎細胞がんの一次治療」に関する適応、ならびに「治療ラインに関わらず、プラチナ製剤を含む前治療中またはその後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な成人の進行性または再発性子宮内膜がん」に関する適応です。それぞれの承認勧告は、進行性腎臓がんを対象としたCLEAR(307)試験/KEYNOTE-581試験と進行性子宮内膜がんを対象とした309試験/KEYNOTE-775試験の結果に基づくものです。

 CLEAR(307)試験/KEYNOTE-581試験は、進行性腎細胞がん患者さん1,069人を対象に、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法とスニチニブ(製品名:スーテント)を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、副次的評価項目は奏効率などでした。

 全生存期間の解析の結果、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法は、スニチニブと比べ死亡リスクを34%減少させました。また、無増悪生存期間の中央値が、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法23.9か月、スニチニブ9.2か月で、病勢進行または死亡リスクが61%低下。奏効率は、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法が71%、スニチニブが36%でした。

 「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法で認められた発現率30%以上の副作用は、下痢(61.8%)、高血圧(51.5%)、疲労(47.1%)、甲状腺機能低下症(45.1%)、食欲減退(42.1%)、悪心(39.6%)、口内炎(36.6%)、蛋白尿(33.0%)、発声障害(32.8%)、関節痛(32.4%)でした。

 309試験/KEYNOTE-775試験は、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による前治療歴がある進行性子宮内膜がん患者さん827人を対象に、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法と化学療法(ドキソルビシンまたはパクリタキセル)を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、無増悪生存期間で、副次的評価項目は全奏効率、奏効期間などでした。

 解析の結果、全生存期間の中央値は、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法18.3か月に対し、化学療法11.4か月で、死亡リスクを38%減少させました。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ7.2か月と3.8か月で、病勢進行または死亡リスクを44%減少させました。

 「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法で認められた発現率20%以上の副作用は、高血圧(63%)、下痢(57%)、甲状腺機能低下症(56%)、悪心(51%)、食欲減退(47%)、嘔吐(39%)、疲労(38%)、体重減少(35%)、関節痛(33%)、蛋白尿(29%)、便秘(27%)、頭痛(27%)、尿路感染(27%)、発声障害(25%)、腹痛(23%)、無力症(23%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(23%)、口内炎(23%)、貧血(22%)、低マグネシウム血症関節痛(20%)でした。

 エーザイ株式会社の常務執行役 オンコロジービジネスグループ プレジデントである大和隆志博士は、次のように述べています。

 「CLEAR試験/KEYNOTE-581試験と309試験/KEYNOTE-775試験で確認された良好な成績に基づき、欧州医薬品委員会が進行性腎細胞がんおよび進行性子宮内膜がんの両適応についてレンビマとキイトルーダの併用療法に対する承認を勧告したことを嬉しく思います。これらの試験に参加いただいた患者様とそのご家族、医療関係者の皆様のコミットメントのおかげで、我々は今回の意義のあるマイルストンを達成することができ、皆様に深く感謝申し上げます」

 また、米メルク社の研究開発本部クリニカルリサーチのバイスプレジデントであるGregory Lubiniecki博士は、次のように述べています。

 「キイトルーダとレンビマの併用療法は、進行性腎細胞がんの一次治療として延命効果を実証し、これらの患者さんに対する重要で新たな治療選択肢としての可能性を示しました。加えて、本併用療法は、進行性子宮内膜がんにおいて、初めて延命効果を示した抗PD-1抗体とチロシンキナーゼ阻害剤の併用療法であり、その延命効果は、ミスマッチ修復機構の状態に関わらず示されました。我々は、欧州医薬品委員会に、これらの治療困難ながんにおける本併用療法の重要性を認識いただいたことを嬉しく思います」