武田薬品、固形がんに対する同種γδT細胞療法の開発加速を目的にGammaDelta社を買収
2021/12/01
文:がん+編集部
同種ガンマ・デルタ(γδ)T細胞療法の開発を加速し、固形がんや血液がんに対する治療法の新たなプラットフォームの研究促進を目的に、武田薬品工業がGammaData社を買収することを発表しました。
γδT細胞療法、固形がん・血液がんのいずれも標的にできる免疫療法
武田薬品工業は10月28日、免疫療法剤としてのガンマ・デルタT細胞がもつユニークな特性の探索に特化した企業であるGammaDelta Therapeutics Limitedを買収するオプション権を行使したことを発表しました。
GammaData社は、同種可変デルタ1(Vδ1)γδT細胞に基づく血液由来と組織由来の同種免疫療法を作成し、血液がんと固形がんの治療法を独自開発しています。遺伝子組換えを行う場合も行わない場合でも同種細胞療法を作成でき、作成した細胞は活性を持ち腫瘍細胞を死滅させる能力をもつことが前臨床試験で明らかにされています。
武田薬品工業のOncology Cell Therapy and Therapeutic Area Unitのヘッドを務めるクリストファー・アーレント博士は、次のように述べています。
「私たちは、治療へのアクセスが良く、固形がんの治療法となる可能性のある細胞療法をお届けできるよう、多くの患者さんにインパクトをもたらせるoff-the-shelf(レディメイド)の同種細胞療法の開発に注力しています。GammaDelta社のチームのような独自の技術基盤と専門性をもつ研究者らと連携することで、武田薬品はがん患者さんの生活にインパクトをもたらす製品の開発に向けて最も期待が持てるアプローチを特定し、開発を加速することができます。ガンマ・デルタT細胞療法は、固形がんと血液がんのいずれも標的とできる、他社との差別化ができるアプローチです。私たちは、GammaDelta社の細胞療法プラットフォームを武田薬品のがん免疫治療領域のR&D活動に組み込んでいきたいと考えています」
また、GammaDelta社のCEOであるパオロ・パオレッティ博士は、次のように述べています。
「武田薬品による買収オプション権の行使は、両社の連携で成果が得られ、GammaDelta社の固形がんと血液がんの治療に向けた新規基盤技術の開発が進んだこの数年間の活動の集大成といえます。私たちはともに活動することで、当社の ガンマ・デルタT細胞療法プラットフォームは大きく進歩し、複数の新規細胞療法候補をパイプラインに入れ、最初のプログラムについては第I相臨床開発まで進めることができました。今回の買収は、当社のチームが積みあげてきた研究がもたらした成果であり、がん患者さんの転帰改善を目標とする革新的な同種細胞療法の速やかな開発を可能にする基盤を提供するものです」