ローブレナ、ALK陽性切除不能進行・再発の非小細胞肺がんの一次治療薬として適応拡大

2021/12/28

文:がん+編集部

 ロルラチニブ(製品名:ローブレナ)が、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がんの1次治療薬として国内承認されました。

ローブレナ、ザーコリと比較して病勢進行または死亡リスクを72%低下

 ファイザーは11月25日、ロルラチニブが「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の治療薬として、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請の承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、B7461006、CROWN試験の結果に基づくものです。

 CROWN試験は、ALK陽性進行非小細胞肺がん患者さんを対象に、一次治療薬としてロルラチニブとクリゾチニブ(製品名:ザーコリ)を比較した第3相試験です。主要評価項目は独立中央判定の評価による無増悪生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間、治験責任医師の評価による無増悪生存期間、奏効率などでした。

 試験の結果、ロルラチニブはクリゾチニブと比較して主要評価項目の無増悪生存期間を延長。病勢進行または死亡リスクを72%低下しました。また、高い頭蓋内抗腫瘍活性を示し、安全性は概ね良好で発現した有害事象は管理可能でした。

 ロルラチニブは、ALK陽性肺がんの耐性メカニズムに注目し創製された3世代のALKチロシンキナーゼ阻害薬です。既存のALKチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性を示す変異腫瘍に対しても効果を発揮し、血液脳関門を通過できるよう設計されています。今回の承認により、一次治療として使用することが可能になりました。

 ファイザーR&D合同会社の石橋太郎社長とファイザー取締役執行役員オンコロジー部門長サビーネ・ジリアム氏は、次のように述べています。

 「ファイザーは、日本において2012年に世界初のALK陽性肺がん治療薬ザーコリを開発・発売し、約10年にわたって、肺がん領域における個別化治療のパイオニアとしてその進展に貢献してまいりました。ALK/ROS1陽性肺がん治療薬ザーコリに続き、EGFR陽性肺がん治療薬ビジンプロ、さらに2次治療以降のALK陽性肺がん治療薬としてローブレナを上市し、肺がん患者さんとそのご家族にかけがえのない時間をお届けしています。今回、ローブレナの一次治療への適応拡大にあたり、治験にご参加およびご協力いただいた方々に心より感謝申し上げます。ALK陽性肺がん患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーをもたらすことを期待しています」