抗体薬物複合体「DS-1062/Dato-DXd」を評価した第1相試験の最新データを発表

2022/01/19

文:がん+編集部

 固形がんを対象に、抗体薬物複合体「DS-1062/Dato-DXd」を評価した第1相試験のうち、トリプルネガティブ乳がんに対する有効性と安全性に関する最新データが、米国サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されました。

トリプルネガティブ乳がんの解析で、奏効率34%、病勢コントロール率77%

 第一三共は2021年12月8日、固形がんを対象にアストラゼネカ社と共同開発している抗体薬物複合体「DS-1062/Dato-DXd」を評価したTROPION-PanTumor01試験の最新データを米国サンアントニオ乳がんシンポジウムで報告したことを発表しました。

 今回報告されたのは、標準治療後に病勢進行した切除不能なトリプルネガティブ乳がん患者さん44人を対象にした、有効性と安全性に関する最新データです。解析の結果、客観的奏効率34%、病勢コントロール率77%でした。トポイソメラーゼI阻害薬が結合した抗体薬物複合体の前治療歴のない切除不能なトリプルネガティブ乳がん患者さん27人のサブグループ解析では、客観的奏効率52%、病勢コントロール率81%でした。

 安全性に関して、新たな懸念や間質性肺炎は認められませんでした。主な有害事象は、悪心、口内炎、嘔吐や疲労などがみられました。

 TROP2は、トリプルネガティブ乳がんを含む複数の固形がんに高発現するタンパク質の一種で、がんの進行や生存率の低下に関係しているといわれています。DS-1062/Dato-DXdは、このTROP2抗体とトポイソメラーゼI阻害薬を結合させた抗体薬物複合体です。薬をがん細胞へ直接届けるため、薬による副作用を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めると考えられています。