「ポライビー+R-CHP療法」、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象とした臨床試験で無増悪生存期間を改善

2022/01/27

文:がん+編集部

 未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象に、「ポライビー(製品名:ポラツズマブ ベドチン)+R-CHP療法」を評価した臨床試験で、無増悪生存期間の改善が認められました。

「ポライビー+R-CHP療法」、R-CHOP療法と比べ病勢進行または死亡リスクを27%減少

 ロシュ社は2021年12月14日、「ポラツズマブ ベドチン+R-CHP療法」と標準治療のR-CHOP療法を比較したPOLARIX試験の成績を発表しました。

 POLARIX試験は、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者さん879人を対象とした第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次的評価項目は完全奏効率、無イベント生存期間、全生存期間、安全性などでした。

 ポラツズマブ ベドチンによる治療を受けた患者さんは、「ポラツズマブ ベドチン+リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニン」と、ビンクリスチンのプラセボを6サイクル投与後、リツキシマブ2サイクルが投与されました。

 標準治療を受けた患者さんは、「リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン」とポライビーのプラセボを6サイクル投与後、リツキシマブ2サイクルが投与されました。

 解析の結果、「ポラツズマブ ベドチン+R-CHP療法」はR-CHOP療法と比較して、病勢進行または死亡リスクを27%減少させました。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫していました。「ポラツズマブ ベドチン+R-CHP療法」とR-CHOP療法のグレード3~4の有害事象は、それぞれ57.7%と57.5%、重篤な有害事象の割合はそれぞれ34.0%と30.6%で、グレード5(死亡)の有害事象はそれぞれ3.0%と2.3%でした。また、減量に至った有害事象はそれぞれ、9.2%と13.0%でした。

 ポラツズマブ ベドチンは、抗CD79b抗体と有糸分裂阻害薬「MMAE」を結合させた抗体薬物複合体です。CD79bタンパク質は、一部の種類の非ホジキンリンパ腫に影響を与える免疫細胞であるB細胞の大部分に特異的に発現しています。抗CD79b抗体が、CD79bタンパク質と特異的に結合することで、付加されているMMAEががん細胞の細胞分裂を阻害することで細胞死を誘導すると考えられています。