リムパーザ、BRCA陽性高リスク早期乳がんの術後化学療法として死亡リスクを32%低下

2022/04/12

文:がん+編集部

 BRCA遺伝子変異がある高リスク早期乳がん患者さんを対象に、術後化学療法としてオラパリブ(製品名:リムパーザ)を評価するOlympiA試験で、全生存期間の延長が認められました。

リムパーザ、3年生存率92.8%、4年生存率89.8%

 アストラゼネカと米メルク社は2022年3月16日、第3相OlympiA試験の良好な結果を発表しました。

 OlympiA試験は、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんで、根治的な局所治療および術前または術後化学療法を完了した患者さんを対象に、術後化学療法としてオラパリブとプラセボを比較する第3相試験です。主要評価項目は無浸潤疾患生存期間、主要な副次的評価項目は全生存期間です。

 全生存期間の解析で、オラパリブはプラセボと比較して死亡リスクを32%低下。3年生存率は、オラパリブ92.8%、プラセボ89.1%、4年生存率は、オラパリブ89.8%、プラセボ86.4%でした。安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫していました。

 OlympiA試験運営委員会の委員長であり、Oncology at The Institute of Cancer Research, London and Kings College Londonの教授であるAndrew Tutt氏は、次のように述べています。

 「OlympiA試験の最新データは、特定の遺伝子変異を有する乳がん患者さんにとってすばらしい知らせです。乳がんの多くは早期に発見され、多くの患者さんの転帰は良好ですが、診断時に高リスクと診断された患者さんは、がんの再発リスクが依然として高いままの可能性があります。OlympiA試験により、リムパーザがBRCA1/2遺伝子変異陽性の高リスクの早期乳がん患者さんの再発リスクを低下させただけでなく、全生存期間も延長させたことが示され、このような患者さんにおいて、がんに特異的な生物学的特性を標的とすることによるベネフィットを示す喜ばしい実証となっています」