リコモジュリン、化学療法誘発性末梢神経障害に対する第1相試験を開始

2022/04/25

文:がん+編集部

 抗がん剤による末梢神経障害に対し、トロンボモデュリン アルファ(製品名:リコモジュリン)を評価する日米国際共同の第1相試験が開始されました。

がん患者さんのQOL向上を目指し「病気を理由に、やりたいことを諦める人を、ゼロにする」

 旭化成ファーマと米Veloxis Pharmaceuticals社は2022年3月28日、「化学療法誘発性末梢神経障害の感覚異常症状の発症抑制」に対し、トロンボモデュリン アルファを評価する日米国際共同第1相SENSEible mCRC試験で、最初の患者さんへの投与を開始したことを発表しました。

 白金製剤、タキサン系製剤、ビンカアルカロイド系製剤などの化学療法は、末梢神経障害を誘発することが知られています。化学療法誘発性末梢神経障害は、四肢末梢のしびれや痛みを特徴とし、重症度が増すと日常生活に支障を来すだけでなく、化学療法の減量・中止を招き、患者さんの予後に影響を及ぼしかねないため臨床上の課題とされています。

 トロンボモデュリン アルファは、2008年に汎発性血管内血液凝固症の治療薬として国内で承認されており、化学療法誘発性末梢神経障害の発症を抑制すると考えられています。

 国内で実施された前期第2相試験では、トロンボモデュリン アルファの化学療法誘発性末梢神経障害に対する有効性と忍容性が示唆されたため、日米で協議した結果、SENSEible mCRC試験が実施されることになりました。

 SENSEible mCRC試験は、遠隔転移のある大腸がん患者さん80人を対象に、オキサリプラチンを含む化学療法と併用したときのトロンボモデュリン アルファの安全性と忍容性を評価する第1相試験です。

 トロンボモデュリン アルファは5段階の用量(最低用量、低用量、中用量、高用量、最高用量)が投与され、プラセボと比較されます。安全性に関する主要評価項目は有害事象、出血事象、用量制限毒性、バイタルサインなどです。薬物動態に関する評価項目は、トロンボモデュリン アルファの血漿中濃度、5-FUの血漿中濃度、オキサリプラチンの血漿中濃度、ベバシズマブの血清中濃度などです。

 同社は、次のように述べています。

 「病気を理由に、やりたいことを諦める人を、ゼロにするというビジョンのもと、化学療法誘発性末梢神経障害に対する新たな薬剤を提供することで患者さんのQOLの向上に貢献することを目指しています」