テセントリク、非小細胞肺がんに対する術後補助療法として国内承認

2022/06/14

文:がん+編集部

 アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)が、非小細胞肺がんに対する術後補助療法として国内承認されました。

テセントリク、支持療法と比較して再発または死亡リスクを34%低下

 中外製薬は2022年5月26日、アテゾリズマブがPD-L1陽性非小細胞肺がんに対する術後補助療法として適応追加の承認を厚生労働省から取得したことを発表しました。今回の承認は、IMpower010試験の結果に基づくものです。

 IMpower010試験は、ステージ1B~3Aの非小細胞肺がんで、手術後に最大4サイクルのシスプラチンを含む補助化学療法を受けた患者さんを1,005人対象に、アテゾリズマブと支持療法を比較した第3相臨床試験です。主要評価項目はステージ2~3AのPD-L1陽性患者さん、ステージ2~3Aの全患者さん、ステージ1B~3AのITT集団それぞれに対する無病生存期間です。主要な副次評価項目は、ステージ1B~3AのITT集団全体に対する全生存期間などでした。

 ステージ2~3AのPD-L11%以上の患者さんに対する解析で、アテゾリズマブは支持療法と比較して、再発または死亡リスクを34%低下しました。5%以上の主な副作用として、甲状腺機能低下症、そう痒症、発疹、AST増加、ALT増加、甲状腺機能亢進症、発熱、関節痛などが認められました。

 同社の代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、次のように述べています。

 「非小細胞肺がんにおける術後補助療法に対する初のがん免疫療法として、テセントリクを提供できることを大変嬉しく思います。これにより、非小細胞肺がんの早期から、がん免疫療法による治療が可能となります。早期がんでは、再発を防ぎ治療の最終目標である治癒の可能性を上げることが非常に大切です。テセントリクは、過去10年以上にわたり治療法の大きな進展が見られなかった早期肺がんにおいて、再発または死亡リスクの低下を示した初のがん免疫療法です。非小細胞肺がんの術後補助療法への貢献を目指し、引き続き適正使用情報の提供に努めてまいります」

※ITT(intention to treat)集団:臨床試験中に、治療から脱落した患者さんも含めた集団。