「タフィンラー+メキニスト」、BRAFV600変異陽性の低悪性度神経膠腫の小児患者さんに対し良好な有効性を示す

2022/07/08

文:がん+編集部

 「ダブラフェニブ(製品名:タフィンラー)+トラメチニブ(製品名:メキニスト)」併用療法、BRAFV600変異陽性の低悪性度神経膠腫の小児患者さんを対象にしたTADPOLE試験で、良好な有効性を示しました。

「タフィンラー+メキニスト」、標準化学療法と比較して病勢進行または死亡リスクを69%低減

 ノバルティスは2022年6月6日、TADPOLE試験の良好な結果を発表しました。

 TADPOLE試験は、1~17歳のBRAFV600変異陽性の低悪性度神経膠腫患者さん110人と再発または難治性の高悪性度神経膠腫患者さん41人を対象に、「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法の有効性を評価した第2/3相試験です。主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間などでした。

 低悪性度神経膠腫に対する奏効率の解析で、「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法は標準化学療法と比較して統計学的有意な改善が認められました。それぞれの奏効率は、「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法47%、標準化学療法11%でした。

 「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法は、標準化学療法と比較して病勢進行または死亡リスクを69%低減。それぞれの無増悪生存期間(中央値)は、「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法20.1か月、標準化学療法7.4か月でした。

 また、腫瘍の縮小または安定を維持した患者さんの割合は、「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法86%、標準化学療法46%でした。1年間の追跡調査後、「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法のほぼすべての患者さん(89%)で、ベースラインに比べて腫瘍サイズが縮小したのに対し、標準化学療法では70%でした。生活の質の解析結果は、すべての時点で標準化学療法より「ダブラフェニブ+トラメチニブ」併用療法の方が良好でした。

 カナダのトロント、 The Hospital for Sick Children (SickKids)名誉シニア・アソシエート・サイエンティストであるEric Bouffet氏は、次のように述べています。

 「これらの結果は、ダブラフェニブとトラメチニブの併用がBRAF V600変異陽性低悪性度神経膠腫の小児並びに青年患者において化学療法を上回る結果を示しています。この研究は、低悪性度神経膠腫患者に対してBRAFのような遺伝子変異の検査を実施することの重要性を示しています」