HER2陽性の再発・転移性乳がんの2次治療としてエンハーツを評価したDESTINY-Breast03試験の結果をSABCSで発表

2022/12/22

文:がん+編集部

 HER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象に、2次治療としてトラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)を評価したDESTINY-Breast03試験において、統計学的有意に死亡リスクが改善。その結果が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表されました。

エンハーツ、カドサイラと比較して死亡リスクを36%低下

 第一三共株式会社とアストラゼネカは2022年12月8日、HER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象に、2次治療としてトラスツズマブ デルクステカンを評価したDESTINY-Breast03試験の結果をSABCSで報告し、医学雑誌「The Lancet」に掲載されたことを発表しました。

 DESTINY-Breast03試験は、HER2陽性の切除不能な転移性乳がん患者さんを対象に、2次治療としてトラスツズマブ デルクステカンとトラスツズマブ エムタンシン(製品名:カドサイラ)を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、客観的奏効率、奏効期間などでした。

 主要な副次的評価項目である全生存期間の解析の結果、トラスツズマブ デルクステカンはトラスツズマブ エムタンシンと比較して統計学的に有意な改善が認められ、死亡リスクを36%低下しました。24か月時点の生存率は、トラスツズマブ デルクステカンは77.4%、トラスツズマブ エムタンシンは69.9%でした。また、主要評価項目である無増悪生存期間の中央値は、トラスツズマブ デルクステカンは28.8か月、トラスツズマブ エムタンシンは6.8か月でした。客観的奏効率はトラスツズマブ デルクステカンは78.5%、トラスツズマブ エムタンシンは35.0%、奏効期間の中央値はラスツズマブ デルクステカンは36.6か月、トラスツズマブ エムタンシンは23.8か月でした。

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。グレード3以上の有害事象は、トラスツズマブ デルクステカンで47.1%に認められました。主な有害事象は、好中球数減少(16.0%)、貧血(9.3%)、血小板数減少(7.8%)、悪心(7.0%)などでした。15.2%の患者さんが、間質性肺疾患と判定されましたが、グレード3が2人、グレード4およびグレード5(死亡)は認められませんでした。