アストラゼネカ、NeogeneTherapeutics社を買収し、オンコロジー細胞療法への取り組みを加速

2022/12/27

文:がん+編集部

 オンコロジー細胞療法への取り組みを加速させるため、アストラゼネカ社が、臨床バイオテクノロジー企業であるNeogeneTherapeutics社を買収したことを発表しました。NeogeneTherapeutics社は、がんを標的とした新たな細胞療法のアプローチを提供する、次世代T細胞受容体療法(TCR-T)の創薬、開発および製造のパイオニア企業です。

TCR-T、これまでの細胞療法では狙うことができなかった対象を標的にできる可能性

 アストラゼネカ株式会社は2022年11月29日に、NeogeneTherapeutics社を買収したことを発表しました。固形がん患者さんに細胞療法を届けるという共通の目標を掲げるNeogeneTherapeutics社のTCR-Tの創薬、開発および製造における専門知識は、患者さんの転帰を改善させたいというアストラゼネカ社の取り組みを強化するものです。

 オンコロジー領域における現在の細胞療法のアプローチのほとんどは、がん細胞の表面に発現したタンパク質を認識するよう、免疫系のT細胞を改変することに重点を置いています。これに対してTCR-Tは、がん特異的な変異に由来する細胞内の標的タンパク質などを認識することができるため、これまでの細胞療法では狙うことができなかった対象を標的にできる可能性があります。

 同社のエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraith氏は、次のように述べています。

  「今回の買収は、革新的なサイエンスとT細胞受容体生物学および細胞療法の製造における優れた専門知識を有する方々を当社のオンコロジー細胞療法チームにお迎えし、がんを標的とする新たな道を切り拓くまたとない機会です。Neogene社のTCRを用いた創薬や製造における豊富な経験は、当社が過去3年間で構築してきた細胞療法における開発力を補完し、患者さんのベネフィットとなる根治的な細胞療法の開発を加速させてくれると期待しています」

 また、NeogeneTherapeutics社の最高経営責任者であるCarsten Linnemann氏は、次のように述べています。

 「次世代T細胞受容体療法を用いて、固形がん患者さんの治療選択肢を一変させるという共通のミッションに向けて、アストラゼネカと共に取り組めることを非常に嬉しく思います。この分野における当社の専門知識、臨床ポートフォリオおよびプラットフォーム技術を、アストラゼネカのオンコロジー領域におけるリーダーシップとグローバルな事業展開と組み合わせることで、我々は先駆的なサイエンスを治療困難ながんの新たな治療薬に転換することができるようになるでしょう」