Camizestrant、フェソロデックスと比較してER陽性進行乳がんの病勢進行を有意に遅延

2023/01/17

文:がん+編集部

 エストロゲン受容体(ER)陽性の局所進行または転移性乳がんの患者さんを対象に、camizestrantを評価したSERENA-2試験において、camizestrantがフェソロデックスと比較して無増悪生存期間を延長したことが発表されました。

事前に規定されたサブグループでも臨床的に意義のある無増悪生存期間の延長を示す

 アストラゼネカは2022年12月8日、SERENA-2試験の結果の結果を発表しました。

 SERENA-2試験は、ER陽性HER2陰性の進行乳がん患者さん240人を対象に、複数用量のcamizestrantとフェソロデックスを比較した第2相試験です。主要評価項目は、フェソロデックス(500mg)と比較したcamizestrant(75mg)およびcamizestrant(150mg)の無増悪生存期間でした。副次評価項目は、24週目の安全性、客観的奏効率および臨床的ベネフィット率などでした。

 無増悪生存期間(中央値)の解析の結果camizestrant(75mg)は7.2か月、camizestrant(150mg)は7.7か月に対し、フェソロデックスは3.7か月でした。ホルモン療法歴のあるER陽性局所進行または転移性乳がんの閉経後の患者さんを対象とした解析では、camizestrant(75mg)は7.4か月、camizestrant(150mg)は12.0か月、フェソロデックスは3.2か月となり、camizestrant(75mg/150mg)はフェソロデックスと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長が認められました。

 ESR1遺伝子変異陽性の乳がん患者さんを対象とした無増悪生存期間(中央値)の解析の結果は、camizestrant(75mg)は6.3か月、camizestrant(150mg)は9.2か月、フェソロデックスは2.2か月でした。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬による治療歴のある患者さん、肺転移および/または肝転移を有する患者さん、ホルモン依存性乳がんがある患者さんなど、事前に規定した他のサブグループでも臨床的に意義のある無増悪生存期間の延長が認められました。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。最も発現割合が高かった治療中に発現した有害事象の割合はcamizestrant75mg、 camizestrant 150mg、camizestrant 300mg、フェソロデックスのそれぞれの群において、光視症(12.2%、24.7%、35.0%、0%)、徐脈(5.4%、26.0%、40.0%、0%)で、これらはすべてグレード1または2でした。グレード3以上の有害事象は、camizestrant 75mgでは1.4%、150mgでは2.7%、300mgでは5.0%、フェソロデックスでは1.4%の患者さんで認められました。有害事象による投与中止は、camizestrant 75mgで2例、150mg、300mgおよびフェソロデックスでは0例でした。

 SERENA-2試験の治験責任医師である、Vall d‘Hebron病院およびVall d‘Hebron Institute of OncologyのMafalda Oliveira氏は、次のように述べています。

 「今回発表されたデータは、ER陽性の進行乳がん患者さんに対する新たな治療選択肢への重要な一歩を反映していると言えます。SERENA-2試験の結果から、camizestrantは75mgと150mgの両用量で忍容性が良好であり、現在の標準的なSERDによる治療との比較において、無増悪生存期間中央値を約2倍に延長し、患者さんの転帰を有意に改善することが示されました」