新たな抗体-光感受性物質複合体「RM-0256」を用いたアルミノックス治療を含むパイプラインの進捗を発表

2023/02/20

文:がん+編集部

 新しい抗体-光感受性物質複合体であり前臨床段階の「RM-0256」を用いたアルミノックス治療の概要、既に臨床段階にある「RM-1995」を含むパイプラインの最新状況、実臨床で提供している「ASP-1929」を用いたアルミノックス治療について、今後数年の重要なマイルストンが発表されました。

RM-0256、光照射後に免疫チェックポイント阻害薬としても作用するかが注目

 楽天メディカル社は2023年1月31日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された第41回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスにおいて、世界中から集まった投資家に向けて講演を行ったことを発表しました。

 本講演では、楽天メディカルとして3つ目の抗体-光感受性物質複合体であり現在前臨床の段階にある「RM-0256」を用いたアルミノックス治療の概要、既に臨床段階にある「RM-1995」を含むパイプラインの最新状況、先行する「ASP-1929」を用いたアルミノックス治療を実臨床で提供している日本での成長、日本で蓄積した知見を基にしたグローバル展開、今後数年の重要なマイルストンなどが示されました。

 RM-0256は、抗PD-L1抗体と光感受性物質であるIR700を結合させた薬剤で、PD-L1を発現する細胞に特異的に集積します。RM-0256を用いたアルミノックス治療の前臨床試験では、PD-L1を発現する標的細胞にRM-0256を集積させ、波長690nmのレーザ光照射によりIR700を活性化させ、その光化学反応により標的細胞を破壊するとともに、PD-L1とPD-1との結合を阻止し、抗腫瘍免疫応答や免疫原性細胞死を誘発させる可能性が示唆されています。さらに、RM-0256を構成する抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1の結合を阻害し抗腫瘍免疫応答を活性化する免疫チェックポイント阻害薬として知られており、RM-0256がアルミノックス治療における光照射後に免疫チェックポイント阻害薬としても作用するかどうか注目されています。

 同社のCo-CEOの三木谷浩史氏は、アルミノックス プラットフォームの可能性について次のように述べています。

 「もし狙った細胞だけを取り除くことができるとしたら、どんな未来が拓けるでしょう?既存の治療法とは全く異なるこの治療法に私が出会ってから10年、凄まじい勢いで技術開発を進めてきました。私たちが描く未来は、局所治療としてのポジション確立に留まりません。既存の治療法が100年以上かけて確立した標準治療のポジションやさらなる進化への道筋を、当社はずっと短いタイムラインで実現したいと考えています」