局所進行/転移性尿路上皮がんを対象に、一次化学療法の維持療法としてバベンチオを評価した試験の長期結果を発表

2023/03/10

文:がん+編集部

 局所進行または転移性尿路上皮がん患者さんを対象に、一次化学療法の維持療法としてアベルマブ(製品名:バベンチオ)を評価したJAVELIN Bladder 100試験の長期追跡調査において、アベルマブの延命効果がさらに裏付けられました。

「アベルマブ+BSC」、BSCと比較して死亡リスクを23%低下

 独メルク社は2023年2月13日、JAVELIN Bladder 100試験の長期追跡調査を発表しました。

 JAVELIN Bladder 100試験は、局所進行または転移性尿路上皮がん患者さんを対象に、一次化学療法の維持療法として「アベルマブ+ベストサポーティブケア(BSC)」とBSCを比較した第3相試験です。主要評価項目は全患者さんおよびPD-L1陽性患者さんに対する全生存期間、副次的評価項目は、全患者さんおよびPD-L1陽性患者さんに対する無増悪生存期間、抗腫瘍効果、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカー、患者報告アウトカムなどです。

 全患者さんに対する解析では、一次化学療法開始からの生存期間の中央値は、「アベルマブ+BSC」 29.7か月、BSC20.5か月で、死亡リスクを23%低下しました。この結果は、標準治療であるプラチナ製剤を含む一次化学療法後に増悪が認められない進行尿路上皮がん患者さんを対象とした、アベルマブの一次治療の維持療法としてのJAVELIN Bladder 100 レジメンをさらに支持するものです。

 また、アベルマブの一次治療の維持療法における全生存期間の結果は、シスプラチンとカルボプラチンのうち、いずれの化学療法を受けた場合においても同様であることが確認されました。

 カナダ・オンタリオ州・トロントの Princess Margaret Cancer Centre の Srikala Sridhar医師は、次のように述べています。

 「第3相 JAVELIN Bladder 100試験で示された全生存期間の有意な改善に基づき、進行が認められない患者さんにはプラチナ製剤をベースとした化学療法に続いてアベルマブによる維持療法が行われており、現在この治療法は進行性尿路上皮がんの標準治療となっています。今回示された所見は、シスプラチンまたはカルボプラチンのいずれかのプラチナ製剤をベースとした化学療法を適応とするすべての患者さんがアベルマブによる維持療法からベネフィットを得る可能性があることを裏付けています。本項で報告したこれらの所見は、進行尿路上皮がんを対象とした進行中および今後の臨床試験の転帰に関する基準点を提供するものです」