転移性ホルモン感受性前立腺がんに対しニュベクオを評価したARASENS試験結果、ASCO GUで発表

2023/03/23

文:がん+編集部

 転移性ホルモン感受性前立腺がんに対し、ダロルタミド(製品名:ニュベクオ)を評価したARASENS試験の結果が、2023年米国臨床腫瘍学会泌尿器生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)で発表されました。さまざまな疾病負荷とリスクごとのサブグループ解析で、生存期間の延長と良好な安全性が確認されました。

「ニュベクオ+ADT+ドセタキセル」、さまざまなサブグループで、生存期間延長効果および良好な安全性を確認

 バイエル社は2023年2月16日、ARASENS試験の新たなサブグループ解析をASCO GUで報告したことを発表しました。

 ARASENS試験は、遠隔転移がある前立腺がん患者さん1,306人を対象に、「ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)+ドセタキセル」併用療法と「ADT+ドセタキセル」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は去勢抵抗性前立腺がんに進行するまでの期間、次の抗がん治療を開始するまでの期間、症候性骨関連事象無発現生存期間、症候性骨関連事象初回発現までの期間、オピオイド初回使用までの期間、疼痛増悪までの期間、身体症状悪化までの期間などでした。

 サブグループ解析の結果、「ダロルタミド+ADT+ドセタキセル」併用療法は「ADT+ドセタキセル」併用療法と比較して、高腫瘍量を有する患者さんの全生存期間の延長が認められ、死亡リスクを31%低下しました。高リスク疾患患者さんおよび低リスク疾患患者さんの両方で、一貫した全生存期間の延長が認められました。少数例であった低腫瘍量群では、ダロルタミドによる生存期間の延長を示唆する結果にとどまりました。

 さらに、「ダロルタミド+ADT+ドセタキセル」併用療法は、腫瘍量およびリスクの高、低を問わず、臨床的に意義のある副次評価項目において有効性が示唆されました。 治療に関連した有害事象の発現率は、サブグループを問わず、ARASENS試験の全ての患者グループと一致していました。

 米シカゴの Genevieve Teuton Professor of Medicine in the Division of Hematology Oncology, Department of Medicine, and the Deputy Director at the Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center of the Northwestern University Feinberg School of Medicineの Maha Hussain医師は、次のように述べています。

 「ARASENS試験から得られたデータは、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんの治療におけるダロルタミドの価値を引き続き実証するものです。特に高腫瘍量または高リスクな患者さんにおいて、そのベネフィットが示唆されています。今回の結果から、この治療法によってよりベネフィットが得られる可能性のある転移性ホルモン感受性前立腺がん患者群について、さらに深い洞察が得られました」